2014年10月1日水曜日

NHK「マッサン」主題歌「麦の唄」感想。

NHK朝の連続テレビ小説「マッサン」が、新しく始まった。
何もかも、新しいかんじがして、とても新鮮である。
きょうは、主題歌をとりあげて、その感想を語ってみたい、という強い思いとなったので、書いてみたい。

麦の唄

なつかしい人々
なつかしい風景
その総てをはなれても
あなたと歩きたい

嵐吹く大地も
嵐吹く時代も
陽射しを見上げるように
あなたを見つめたい

麦に翼はなくても
歌に翼があるのなら
伝えておくれ故郷へ
ここで生きてゆくと

麦は泣き 麦は咲き
明日へ育ってゆく

作詞・作曲は、中島みゆきさんである。
ここでは、北海道時代のファンという意味からあえて「みゆきさん」と「さん」付で呼んでみたい。
「さすが」という気持ちである。
誰もが「マッサン」のあらすじをすでに知っていたと思うので、この主題歌が流れたとたんに、涙、涙である。
遠いスコットランドから、海を渡って、国際結婚で日本に来た妻・エリー、その気持ちを歌ったものであることは、よくわかる。
ここで、前回と同じく、国語として、国語教育の意味で、この歌を考えてみたい。

「なつかしい人々
なつかしい風景」
これは、エリーの母国、スコットランドを表していると思われる。
しかし、このワンフレーズをよく聞いてみると、次に続くのは、
「その総てをはなれても」なので、スコットランドを離れることがわかる。

次に、「嵐吹く大地」「嵐吹く時代」
これは、地理的な状況と時間的状況、雰囲気を表していると思われる。
「どんな場所でも」「どんな状況でも」
という意味だと考えられる。
そして次に、「嵐」に対比させるように、「太陽」を表す「陽射し」という言葉が続く。
この「太陽」が、夫であるマッサンを意味するのであるから、非常に、人間関係と愛情と立場を、自然環境にあるもので表現していることがわかる。

こうして考えていくと、「麦」は、とても表現豊かなたとえであり、たとえばエリーが自分自身の平凡さや無力さを思うのかもしれない。
また、夫婦の愛情を、麦という素朴な主食である穀物に例えたともいえる。
また、マッサンが目指すものは、日本初の国産ウイスキーなので、その原料である「麦」を出している。
ふたりの愛情と、絆と夢を、「麦」にたとえたわけである。

「伝えておくれ」で、エリーの国際結婚の意思が表れる。
そして、「麦は泣き 麦は咲き」
この「泣き」は、悔し涙や悲しい涙をさすだろう、
しかし、「咲き」では、成功を表す言葉が使われている。
試験の合格発表のときに、「桜咲く」と言う意味である。
こうして、マッサンのテーマと、ストーリーと、夫婦愛と、エリーの心情が、歌われている。
日本語としては、割合にスムースな手法となっているが、表現やたとえがとても的確でストレートであるように思う。

毎日、この主題歌とともに、ふたりの夫婦愛を確かめることができる、秀逸な歌である。