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どんな秋ですか?

秋である。
北海道育ちの私は、本州の秋のすごしかたに、まだ少し慣れていない。
北海道では、10月はもう、冬であった。月末には初雪が降る。
本州の冬は、それとちがって、あたたかく、そして長い。
9月、10月、11月、と秋である。
秋の虫の声、秋の月、秋の夜長、秋の暮れのつるべ落とし、それらすべてを、本州にいると体験することができる。
秋の夜長はよいものだ。
暮れるのが早く、涼しく、友と語り合っておればいつの間にか、月は高くあがってくる。
この時間とこの気温を利用して、さまざまな秋をみなが楽しんでいるのは、本州ならではの風情である。
私は、なんといっても、芸術の秋である。

北海道では、大規模な展覧会が周回してくることはめったになかった。
東京では、大きな国際交流的な展覧会もあり、小さなギャラリーもあって、ちょっとした小道をはいると、カフェを兼ねた展示会も開かれている。
こうした展覧会を見かけると、ちょっと立ち寄りたくなる。
近ごろでは、若い人たちはとても絵が上手で、展覧会なども、積極的に開いているようだ。
遠い外国の漁港の景色。現代的モチーフとしての「和」。
「和」を取り入れた洋画もある。
そういった展覧会は、たぶん一期一会のものだろう。
室内をゆったりと歩いたら、出口の受付で、記念のポストカードを一枚、購入する。
カフェを兼ねた窓辺の席で、遠い友達に絵葉書をしたためる。

「どんな秋ですか?」
「2年前はたいへんでした」
「お互い、健闘しましたね」
「本当によくがんばりました」
「いつか必ず、お会いしましょう」
「あのときの友情とチームワークは一生忘れない」

どんな秋ですか?
世間の風はどんどん冷たくなっていきますが、私たちはこうして、温かい友情を、はぐくんでいきましょう。
手にしたポストカードでは、幼い少女が赤い風船を持って微笑んでいた。
そう、あの時代を越えてきたわたしたちは、今、おおらかに秋を楽しんでいます。