2018年2月3日土曜日

平昌オリンピック。文在寅大統領の英断を望みます。

韓国・平昌のオリンピックが、間近にせまっています。
朝鮮半島の情勢が緊迫しているこのところの状況で、世界中がこのオリンピックに注目しています。
私は、オリンピックに参加する選手を、近くで知るひとりとして、考えていることがあります。
それで、韓国の文大統領に、英断を求めたいと思って、こうして文章を書いています。

オリンピック精神は、百も承知しております。
平和と文化の祭典です。
韓国をはじめとして、オリンピック委員会の皆が、世界中の人々と選手たちが、この大会に向けて、希望を持って、取り組んでまいりました。

これまでの、ロンドンオリンピック、リオオリンピック、ソチオリンピックも、テロや紛争との戦いでした。
今回の、平昌オリンピックもまた、「争い」そのものとの戦いといえます。
争いや憎しみとの戦い、分断する心と心の、戦いでありましょう。

そうした状況のなかで、平和の祭典をなんとしても成功させることが、平和を望む人たちの、大きな希望となることでしょう。
平和への道がまた一歩拓ける、ということでもあります。

参加する選手たちも、平和と文化をめざして、日々、練習に励んできました。
金メダルを獲得することも大事ですが、それよりも、世界各国の選手と、友情をはぐくむことは、とても大きな、心の糧となります。
そうして、のびのびと育っていくことが、スポーツマン精神の、とても大切なところです。

しかし今回のオリンピックでは、若い選手たちが、安心して競技に取り組める状況にありません。
選手をとりまく、コーチ、メディア、家族としても、とても、心配です。
北朝鮮の問題があるからです。

北朝鮮は、つい昨年の暮れまで、核兵器の開発をしていました。
核実験やミサイル実験も行っています。
そして、化学兵器や生物兵器を使った事件を、実際に起こしています。
化学兵器を使った事件では、なんの関係もなさそうな、若い女性が、殺傷能力の高い化学物質を持っていました。

若い選手が、広い競技場で競技をとりおこなうときに、応援席で、化学兵器を持っているかもしれない、正体不明の女性たちが観覧している、この状況のなかで、有能な選手が、安心感を持って、競技場に飛び出していけるものでしょうか。

今回の、北朝鮮のオリンピック参加申し出は、今年に入ってから、とても急な、いきさつとなっています。
朝鮮半島では、朝鮮民族の分断という悲劇が、とても重い問題として、民族の人々の心にのしかかっていることは、みなが知っています。

家族のあいだの問題もそうですが、民族のあいだの問題も、周りのひとたちが、あれこれ言えるものではない、ということは、よくわかっています。
今回の、北朝鮮の参加申し出は、韓国の人々、文大統領にとって、またとない、長年の悲願を叶えるものであることでしょう。

しかし、だからこそ、北朝鮮との融和政策は、時間をかけてみてはどうでしょうか。

ひとつの案として、平昌オリンピックを、来年に、一年、延期する、という考えもあります。
北朝鮮との融和は、時間をかけて行ったほうが、世界各国の、首脳も選手も家族たちも、みんなが安心できます。
一年間、という時間をかけて、北朝鮮と韓国との融和政策を行って、世界各国が、その融和に安心感を持てたところで、オリンピックを、再度、試みてはどうでしょうか。

たくさんの人々が準備を行い、楽しみにしてきました。
スタジアム建設など費用も莫大にかかっています。
それらを、無駄にすることなく、再びの悲劇の記念碑にすることなく、世界中のみんなが、安心して、朝鮮民族を祝福できるようにしてはどうかと思います。

オリンピックの開会まで、もうほとんど時間がない状況です。
止めるなら、今しかないでしょう。
もし、はっきりとした延期の発表がないと、なしくずしに物事が進んでいくことになります。
そうなったときに、悲劇をこうむるのは、たくさんの人々です。

早期に、「誰かが」決断すべき問題です。

文大統領の英断を、望んでいます。
IOCのバッハ会長ともよくお話をしあって、本当に平和的な、素晴らしいオリンピックにできるように、最高の決断をなされることを、念願しています。