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2019年11月17日日曜日

お料理エッセー・84 玉子丼


玉子丼 レシピ



まず、玉子ふたつを、ボウルか、かわいい丼に、割って入れて、それから、かきまぜておく。



次に、玉ねぎを半分に切って、スライスする。



片手鍋、これは、小さめのものが、使いやすい。

内側が、フッ素コートになっていると、焦げ付きにくいので、使いやすい。

Amazonで、500円くらいで販売されている。



この鍋に、水を、300㏄、入れる。

ワンカップ焼酎が200㏄なので、これを参考にするとよいかも。



水のなかに、スライスした玉ねぎを入れる。

それから火をつける。



沸騰したら、「ほんだし」を、ふりいれる。

小さじ一杯分。



味の素を毛嫌いする人がいるが、味の素は、昆布の表の白い粉である。

毒でもなんでもない。

この味の素を使ったのが、「ほんだし」である。



この「ほんだし」は、お味噌汁にも使えて、とてもおいしくて、簡単である。



スライスした玉ねぎが、煮えてきたら、味付けをする。



「さしすせそ」

さ → 砂糖、みりん、甘い調味料

し → 塩

す → 酢

せ → 醤油(せうゆ)

そ → 味噌(みそのそ)



この順番でいれると、味がよくしみこむ。



それなので、まず、砂糖を、小さじにほんの少し、入れる。

かきまぜる。

次に、みりんを、大さじ一杯、入れる。

かきまぜる。



少ししてから、塩を、小さじほんの少し、入れて、かきまぜる。



次に、醤油を、大さじ一杯、入れてかきまぜる。



ここまでで、味付けができあがり。



ここから、玉子でとじる。



割ってかきまぜておいた玉子を、鍋の上から、箸を使って、少しずつ、回して、流し込む。



全部、流し込んだら、少し強火にして、玉子に火を通す。



器に盛って、できあがり。



つゆだくがおいしい。



炊き立てのごはんにかけると、もっとおいしい。



玉ねぎの代わりに、ニラ、長ねぎ、でも作れる。



鶏肉を入れると、親子丼になる。



豚肉を入れると、他人丼になる。



とんかつでとじると、カツ丼になる。

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2018年12月30日日曜日

連載・13  お料理エッセー・そら豆のひとりごと。 うずら豆の甘煮。


連載・13  お料理エッセー・そら豆のひとりごと。

うずら豆の甘煮。

俗に「煮豆」と呼ばれている、大きめの紅い豆の煮ものである。

私はこの煮豆が大好きで、

母も私たちが子どものころは、よく作り置きをしてくれた。

ちょっとおなかが空いたときに、冷蔵庫のいつものお茶碗に入った「煮豆」を、

ふたつみっつつまんだものである。



今では、家庭で煮豆が作られることがあまりないそうである。

私自身も、あまり作らない。

なぜかというと、まず第一に、手がかかるからである。

うずら豆は、保存にはいいが、乾物と呼ばれる部類に入る。

切り干し大根や、ひじき、高野豆腐、もこの部類に入る。

これは調理の前に、「水にひたしてもどす」という作業がある。



「明日、うずら豆を煮よう」と思ったら、前の晩に、豆を水にひたして、

一晩置く。それから次の日に調理することになる。



昔の人は、とてもゆっくりしたペースで生きていて、

こういう調理方法が苦にならなかったのかもしれない。

現代人は忙しすぎて、「食べよう」と思った瞬間から、

待てたとしても3分だけなのかもしれない。

「作ろう」と思ってから15分で調理ができないと、

どうにも「やる気」が失せてしまうのだろうか。



以前にも、煮豆を作ろうと思って、夜のうちに水に豆をひたしておいたが、

翌朝、突然の来客があり、何時間も豆を煮ているような時間を取れなくなってしまった。

これではもったいない。

あしたの予定も「忙しい」の言葉で埋め尽くされているようなスケジュールノートに、

「煮豆」を書くのもしのびない。



いつか、時間の余裕ができたら、じっくりと、ことことと、豆を煮たいものだ。










連載・12 お料理エッセー・そら豆のひとりごと。 とうふの田楽。


連載・12 お料理エッセー・そら豆のひとりごと。

とうふの田楽。

大学生のころ、同じクラスの友達で、とても料理好きの女の子がいた。

大学に入れば、ほとんどの学生が、アパートでひとり暮らしを始めたから、

お料理が好きか、得意か、ということは、生活に大きな差をもたらしたかもしれない。

たとえば、昼食にしても、自分で作ってお弁当を持ってくる生徒と、

学生食堂でBランチを食べる生徒とでは、決まった仕送り額の中で、

ずいぶんな差が出たと思う。



私は、目玉焼きやお味噌汁くらいは作れたが「料理好き」とまで行かなかった。

勉強とクラブとゼミとで学生生活が精いっぱいだった。

その友達は、趣味でお料理とお弁当作りをしていたので、

契約を結んだ。

彼女が一食100円で、毎日お弁当を作って来てくれる、というのである。

これはすぐに飛びついて、毎日彼女に100円払って、

彼女の手料理を堪能した。



契約自体は、それぞれに学業が忙しくなって、途中で終わりにしてしまったが、

彼女のアパートに遊びに行ったときには、手料理をごちそうになって、

それが4年間続いた。

ときには、彼女が、何かの料理の研究に凝っていて、

その味見役を毎日することになる。



それが、「とうふの田楽」だった。

どうもとうふの焼き具合と、田楽味噌の調合の具合に「秘訣」がある、

というより彼女なりの「秘訣」を編み出したかったらしく、

毎日毎日、木綿豆腐を買って来ては、とうふを焼いていた。



味付け味噌も、赤味噌、白味噌、ブレンド、などなどあり、

とうふもオーブンで焼いたり、フライパンで焼いたりしていた。

田楽というと彼女を思い出す。



木綿豆腐を適度な厚さに切り、フライパンやオーブンで焼く。

このとき、ひっくり返しやすいように、竹の串を二本差しておくとよいらしい。

ほどよく焼けたところに、味のついた味噌を塗って、

もう一度、焼き目がついて軽く焦げがつくまで焼く。

これが、とうふの田楽である。

もっとも、彼女に言わせたなら、もっともっと奥深い「何か」を話してくれるのだろうけれど。








連載・11 お料理エッセー・そら豆のひとりごと。 七草かゆ。


連載・11 お料理エッセー・そら豆のひとりごと。

七草かゆ。

お正月も明けて、17日は、七草かゆの日である。

お正月に食べ過ぎたおなかを休ませて、

春の代表的な草である七草を入れた、質素なおかゆをいただく。

お正月にはいろいろな儀式があるが、

この時期にこれを食べておくと、その年一年が幸せに暮らせる、

というとてもなにか、今年一年の成功を思う儀式だったのだな、

と思う。

一月にいただく七草は「春の七草」と呼ばれるもので、

セリ・ナズナ・ゴギョウ・ハコベラ・…と、国語の時間に丸暗記したような気がする。

これらの七草、つまりおかゆに入れるべき野菜は、

現代ではそうめったに手に入らない。

万葉集の時代には、この季節にちょっと河原に出れば、そのへんに生えていた草なのかもしれないが、

現代ではまず不可能だと思う。

そして、ずっと「七草かゆ」はあきらめてきたが、

このところ日本では、「原点回帰」ともいうべき現象が起きているようで、

この季節、スーパーマーケットへ行くと、「七草かゆセット」が販売されていて、

ちゃんと七種類の野菜が、セットされている。

値段はそれほどお安くはないし、正直いって、それほどおいしいものでもない。

でも、「季節を感じたい」という人は、いるものなのだと思う。



おかゆの炊き方はとても簡単なものなので、覚えておくと、熱を出したときなどに、

消化が良いので、役にたつと思う。



いったんごはんをたいて、そのごはんを改めてお湯で煮るものは、

「おじや」と呼ぶ。



おかゆは、米から炊くものだ。

一般的に「ごはん」は、コメの量と同じ分量の水を入れて、

炊飯器にかけるのだが、

この水の量を極端に(5倍から8倍くらい)多くすると、

コメが柔らかくなって炊き上がる。

これが「おかゆ」というものだ。



七草は、別のお鍋で、食べやすく刻んだものを、お湯で煮て、薄く塩味をつける。

おかゆが煮えたら、七草の煮えたものを上に載せて、

しゃもじで混ぜる。

こんなかんじで、七草かゆができる。



おかゆは簡単に炊けるので、具はいろいろなものを選んでみるといいと思う。

ほうれんそうや、わかめを煮たものも、おいしい。

梅干しをひとつ載せるのも、とてもいい。

あとは、ペースト状の味付け海苔もいい。

「江戸むらさき」やら「ごはんですよ」。



春の七草のひとつ、ナズナというのはぺんぺん草で、

1月のこの時期、深く根をおろして、地道に生えている。

これを抜くと、本当によい香りがする。

春先の庭仕事は、このぺんぺん草を抜くのが大仕事なのだが、

この香りをかぐと、春なんだな、と思うひとときである。






連載・10 お料理エッセー・そら豆のひとりごと。 お正月のおせち料理。


連載・10 お料理エッセー・そら豆のひとりごと。

お正月のおせち料理。

「おでんの具はどんなものが好きですか?」

なんていうアンケートがある。

アイドルタレントも「がんもが好き!」などと答えると、

なんだか急に親近感が湧いてくる。



では「おせち料理はどんなものが好きですか?」となると、どうだろう?

気分的には、重箱に詰まったあのきれいな姿を見ないと、お正月の気持ちがしてこないのだが、

「好きかどうか」「おいしいかどうか」というと、率直に言って「どうかな?」。



私の友達でも、「あれはどれをとっても甘すぎて」と言う人もいるし、

家族でも、栗きんとんに黒豆に、昆布巻きも甘すぎて、どれをとっても、

「これが好き」とは、心底思えないようだ。



もともと、おせち料理は、年末年始には漁がなく、市場も開かれなくなるので、

新鮮な食材が手に入らなくなる、そして、調理の作り手たちもお正月には休みたい、ということで、

暮れのうちに3日分の食べ物を作っておいたようだ。



そうすると、日持ちが良いのは、砂糖をたくさん使って甘く煮たものである。

また、昔の時代は砂糖は貴重品であったので、

お正月以外には、甘いものが食べられなかったらしい。

それで、お正月のぜいたくとして、ああいった甘い料理が重箱に詰められるわけなのだそうだ。



私は、甘いもの大好きなので、栗きんとんと伊達巻で、幸せになれる。

伊達巻は、できれば紀文のはちみつ入りのがいい。

お正月の三が日は、栗きんとんと伊達巻と、あべかわもちで、本当に幸せだ。



それから、欠かせないのが、先祖代々伝わる料理である。

いっぱんのお料理の本では見かけたことがないので、

もしかすると、うちの一家だけの料理かもしれない。



料理名をあえて書くとすると、「鮭の酒粕煮」となるのだろうか。

塩鮭の切り身を、酒粕を溶かしたお湯に入れて、しばらく煮る。

盛り付けるときに、鮭の上にトロリと酒粕をかける。

…これだけのものなのだが…。



子どものころ、お正月におばあちゃんの家に行くと、

必ずこれを出してくれた。なつかしい祖母の味、なつかしいお正月の味である。



大人になってからこれを作ってみると、

なべに酒粕をお湯で溶いたものを準備しておけば、

あとは塩鮭の切り身を入れて10分ほど煮てあたためるだけで、

すぐにおいしい料理が出せる。

人数がどんなに増えても、突然の来客でも出せる。



なつかしいおばあちゃんの味、このお正月は私が作って、お客さんに出そう。








連載・9 お料理エッセー・そら豆のひとりごと。 年越しそば。


連載・9 お料理エッセー・そら豆のひとりごと。

年越しそば。

大晦日といえば、紅白歌合戦と年越しそば。

大晦日は朝から、お母さんは大忙しだ。

煮しめ、昆布巻き、栗きんとん、手巻き寿司、フライドポテト、若鶏の唐揚げ、

お菓子にジュースに、かまぼこの細工。

買い出しも、家族兄弟がそろって付き合う。

まるでお母さんの番兵さんになったみたいだ。



それでも子どもたちが大きくなるにつれて、お母さんも、

「今年はもう何も作らないわよ」

「出来合いのものを買って済ませるからね」と宣言を始め、

それでもやはり大晦日には「やっぱり煮しめだけ作ろうかな」と立ち上がる。



年越しそばを食べる時間はいつなのだろう?

正確には、大晦日の夕食にいただくものなのだろうか。

それとも除夜の鐘を聴きながら、年を越す時に口に入れているものなのだろうか。

たぶん、その年最後の食事が、そばになればいいのだろうと思う。



大晦日の夕方、紅白歌合戦が始まるころには、お母さんが作った煮しめや昆布巻きがすでにできあがっていて、

ごちそうの最後の仕上げに、そばを茹でるわけだけれど、

そのそばをいただきながら、ぼちぼちと黒豆をつまんだりし始めてしまう。

本当は、大晦日におそばで済ませておけば、年が明けてからのごちそうが、

たくさんおなかに入って、お正月のごちそう気分を味わえるのかもしれない。



ひとり暮らしで、仕事を抱えていたときには、年越しもなにもあったものじゃなく、

「どん兵衛」というお湯を注いで3分のそばを食べたものだ。

それほど長くはない人生だが、いろいろな年の暮れを迎えている。

ひとりで意地をはって「どん兵衛」をいただいた年も、

家族でごちそうを囲んだ年も、

父が、買い置きしておいたお酒と数の子で前の晩から全部食べてしまって、

家族全員で非難ごうごうだった年も、

なんだかみんな許せそうな、年の暮れ。



今年の年越しそばは、乾麺から茹でて、油揚げと豆腐と大根を入れた汁を作ろうと思う。

世界中のたくさんの人たちと、年の暮れを静かに迎えたいと思う。








連載・8 お料理エッセー・そら豆のひとりごと。 理想のキッチン


連載・8 お料理エッセー・そら豆のひとりごと。

理想のキッチン

年末の大掃除で、一番手がかかって苦労するのは、キッチンだと思う。

子どものころから毎年、母が12月に入ると、一日一か所ずつと決めて、

大掃除に取り組んでいたことを思い出す。

中でも、エプロンや帽子まで、上から下まで完全装備で行うのが、

キッチンの掃除である。

キッチンは、日ごろ、油を使っているので、たとえその油が跳ねたり飛んだりしなくても、蒸気になって壁のあちこちに着くらしくて、

キッチンの壁全体が、油でうっすら色がついてしまう。

換気扇というとなおさらだ。

最近はよい洗剤も出てきて、使い捨て方式の換気扇カバーも安価で売られている。

こういうものこそまさに、「お母さんの味方」なのだろう。



一人暮らしのアパートを探すときには、やはりいろいろな条件があったけれど、

キッチンが広くて明るくて使いやすいところが魅力的だった。

最終的に私が選んだアパートは、大家さんの奥さんが間取りを設計したもので、

「私が住みたいくらいよ!」とニコニコして言うほどの、女性向けのアパートだった。

そして、キッチンの壁にはサーモンピンク色のタイルが貼られ、

ひとり暮らしといっても、流し台の広さは一般の4人家族と同じ広さで、

コンロ台も、ガスコンロを2台置ける広さだ。



最近では、ダイニングキッチンを家の真ん中において、

リビングとカウンターでつなぐ形式の設計もあるという。

風水的には、家の真ん中に水を使うところがあるのは、それほど良くない、と言う話だが、実際に使ってみた感想はどうなのだろう?

私の友達の家では、カウンターがむしろ邪魔になって、ダイニングテーブルに皿を持っていくのが大変だったそうだ。



昔の家では、「台所」は、家の裏の、北側の寒いところにあった。

そこに井戸があって、土間があって、女性たちが調理作業をしていた。

女性と調理を南側に出したのは、ひとつの大きな変革だったのだろうと思う。



私の思う理想のキッチンは、ひとつの「女性の砦」となるところで、

それは、女性が家族とは離れて書斎を持つようなニュアンスである。

ダイニングテーブルは、シチューを煮ながら、本を読んだり原稿を書いたりする机になる。

食器棚に読みかけの文庫本も並べたい。

窓には香草類のプランターをいくつか並べ、そこに太陽の陽射しが入ってきたらいい。

そして、家族が「ただいま」と言って帰ってくる。



でも一番の理想のキッチンは、あの目になじんだエプロンをつけて、

お母さんがじゃがいもを向きながら「おかえり」と言ってくれる、

遠い昔のキッチンである。






連載・7 お料理エッセー・そら豆のひとりごと。 いつもバッグにサンドイッチ。


連載・7 お料理エッセー・そら豆のひとりごと。

いつもバッグにサンドイッチ。

このところ、サンドイッチにこっている。

以前から、コンビニエンスストアで軽いお弁当を買うときも、

サンドイッチは大好きなメニューで、ハムとレタス、

特にレタスの緑色が身体にいいような気がして、選んでいたものだ。

そこに、冬ならホットのコーヒーをつければ文句はひとつもない。



このごろは、家やオフィスの冷蔵庫に、

スーパーマーケットで買ってきたパック入りのハムと、スライスチーズと、

レタスを一玉、用意してある。

食パンを買ってくれば、ちょっとひと手間で、サンドイッチを作ることができる。



ハムをパック入のものを選ぶのは、大きな塊だと、その後の保存が不便だからだ。

3~4枚をまとめて封入してあるものを、一回使い切りパックになっているのが便利だ。

それでも3パックで300円程度するから、高価なように感じる。

ハムというのはやっぱり人気があるだけあって、高いんだな、と思う。

ローソンのサンドイッチの値段と比べて、やはり安上がりだと思う。



スライスチーズは、サンド用よりも、「とろける」タイプのほうが、

口当たりが柔らかくておいしい。

別にオーブントースターで溶かさなくてもいいから、普通のサンドで、

「とろける」を使う。値段は同じだ。



これを、食べたい時に作ってそのままいただくのもよいのだが、

朝、仕事を始める前に作っておく、これもまた楽しい。

サンドイッチというのは不思議なもので、サンドして、ちょっと力をかけて押す、

それから何時間か時間が経つと、味がなじんでおいしくなるようなのだ。



ちょっとしたお出かけ前に、たくさん書く予定の原稿書きの前に、

サンドイッチを作る。

はさんだあとは力をかけてぐっと押して、それから、ジッパー付のビニール袋に入れる。

このままバッグのポケットにセットしておく。



外食もいいが、ちょっとした場所を見つけて、ホットコーヒーだけ駅の自販機で買って、バッグの中からサンドイッチを取り出す、これがいい。

原稿の合間に、立ち上がってコーヒーだけ淹れて、サンドイッチを取り出す、

これがいい。



北海道から上京したとき、羽田空港に着いたとたんに、ほっとしてとてもおなかが空いてきた。

あのとき羽田で買って、到着ロビーで口にしたサンドイッチは、洗練された東京の味がした。

どんなスパイスが使われていたのか、未だにわからない。

人の手の数だけ、サンドイッチの味があるのかもしれない。



さあ今日も、しっかりサンドを押してから、仕事にとりかかろう。






連載・6 お料理エッセー・そら豆のひとりごと。 想い出のスイートポテト。


連載・6 お料理エッセー・そら豆のひとりごと。

想い出のスイートポテト。

きょうはとても寒くて、日本の本州でも、雪景色のところがあった。

汽車の窓から見る雪景色と遠くの山々の風情は、

本州であっても北海道であっても、とても似た雰囲気になる。

雪の白さが、すべて視界を埋め尽くすからかもしれない。



車窓の雪景色というと思い出すのが、

北海道の帯広に旅したときのことである。

それは真冬のことだった。

帯広の友達が、あちこちと案内してくれた。

「帯広の名物というとスイートポテトだから」と言って、

連れて行ってくれたのが、「アンデルセン」という菓子店である。

(現在は店名を改めて、クランベリー、というらしい)



北海道の名産品というといろいろある。

小樽は寿司で、札幌はラーメンかもしれない。

そして帯広は、おいしいお菓子の街である。

聞くところによると、北海道は年間を通して気温が低いので、

チョコレートの保存や製作に適していて、

ミルクやバターの製造もしている。

材料豊富で気候がいいということらしい。



帯広には、六花亭や千秋庵などの、昔から道民になじんでいる菓子店があって、

それらの店舗が統合されたり拡大されたりして、

こういう菓子店にぎわいになったようだ。



「スイートポテト」というと、とてもおしゃれな雰囲気があるが、

日本でいうと、「さつまいも」である。

さつまいもを使って作ったのが、「スイートポテト」というお菓子になる。

店によってもいろいろな作り方があると思うが、

帯広のスイートポテトは、薄いパイ生地の上に、ぼってりとポテトが乗っていた。

さつまいもをふかして、ペースト状にしたものを乗せてあるのだろう。

そしてそれをオーブンで焼いたのだと思う。



帯広のスイートポテトでとても特徴的だったのは、

それが、掌からはみだすほど大きかった、ということだ。

ちょっとしたお弁当箱ほどの大きさだった。



帯広駅で友達と別れてひとり汽車に乗り、

過ぎていく車窓の雪景色を見ていたら、とてもおなかが空いてきて、

彼女がバッグに押し込んでくれたスイートポテトの包みを、

なんだかただ、がむしゃらに食べた。

おなかと心が満たされたあと、ふしぎに、涙があふれてきた。









連載・5 手巻き寿司パーティー


連載・5 手巻き寿司パーティー

クリスマス、誕生日、お正月。

楽しいお祝い事の日は、北海道では、ジンギスカンか手巻き寿司だった。

クリスマスも子どものときから、大人になってからも、何回も経験したけれど、

やっぱり、丸い大きなケーキ、アルコール抜きのシャンパン、

鶏の唐揚げとフライドポテト、お菓子食べ放題、

それから、手巻き寿司だと思う。



本州に来てから、手巻き寿司パーティをしていない。

よく考えてみたら、手巻き寿司のネタを、スーパーマーケットで販売していないように思う。

友達も、「生のネタで手巻き?」と驚いていた。



手巻き寿司は、まず大きなテーブルを囲む。

テーブルの上には、シャリ(酢飯)を入れた大きな桶。小さなしゃもじがついている。

それから、大きな皿の上に、生寿司のネタが並ぶ。

トロ、サーモン、甘えび、いか、いくら(小さなスプーン付)、ほたて、

といったところである。



本州に来てから、回転ずしで「コーン」とか「ツナ」があるのを見たが、

これは寿司ではないと思う。

生の、お寿司屋さんで食べる、海鮮ものでなければ寿司とは言えない。

それを、北海道ではスーパーマーケットでパック入りでど~んと販売されていたのだから、どれほど海の幸に恵まれていたか、今になってようやくわかる。



そのパック入りの「手巻き寿司のネタ」を買って来て、大皿の上にきれいに盛り付けたわけである。

そして、寿司はねの海苔、これを4等分して、何枚も重ねて、皿に乗せる。

それから、緑色のもの、レタスやカイワレ大根などを、これも別の皿に盛る。



これで準備万端整った。

あとは、乾杯をして、食べ始める。

海苔を手に取り、しゃもじでシャリを好きなだけ海苔に乗せて、

それからカイワレ、それから、好きなネタを好きなだけ乗せて、

上手にくるむ。

そして、食べる。



トロといくらを一緒に乗せてもいいし、

シャリを思い切り薄くしてサーモンを3枚乗せてもいい。

そうそう、ちょっとだけお醤油をたらしてもいいし、

おとなならちょっとワサビをつけてもいい。



そしておなか一杯、いただく。

わいわい言いながら。



思えば、いくらとトロを一緒に食べることができたのも、

安心して海鮮ものをたくさん食べることができたのも、

自由な気風と海に囲まれた北海道だったからかもしれない。



ちょっと予算をかければ、手間いらずで、みんなで楽しめる。

特別な日に、家でゆったりと、手巻き寿司のパーティをしよう。