連載・5 手巻き寿司パーティー
クリスマス、誕生日、お正月。
楽しいお祝い事の日は、北海道では、ジンギスカンか手巻き寿司だった。
クリスマスも子どものときから、大人になってからも、何回も経験したけれど、
やっぱり、丸い大きなケーキ、アルコール抜きのシャンパン、
鶏の唐揚げとフライドポテト、お菓子食べ放題、
それから、手巻き寿司だと思う。
本州に来てから、手巻き寿司パーティをしていない。
よく考えてみたら、手巻き寿司のネタを、スーパーマーケットで販売していないように思う。
友達も、「生のネタで手巻き?」と驚いていた。
手巻き寿司は、まず大きなテーブルを囲む。
テーブルの上には、シャリ(酢飯)を入れた大きな桶。小さなしゃもじがついている。
それから、大きな皿の上に、生寿司のネタが並ぶ。
トロ、サーモン、甘えび、いか、いくら(小さなスプーン付)、ほたて、
といったところである。
本州に来てから、回転ずしで「コーン」とか「ツナ」があるのを見たが、
これは寿司ではないと思う。
生の、お寿司屋さんで食べる、海鮮ものでなければ寿司とは言えない。
それを、北海道ではスーパーマーケットでパック入りでど~んと販売されていたのだから、どれほど海の幸に恵まれていたか、今になってようやくわかる。
そのパック入りの「手巻き寿司のネタ」を買って来て、大皿の上にきれいに盛り付けたわけである。
そして、寿司はねの海苔、これを4等分して、何枚も重ねて、皿に乗せる。
それから、緑色のもの、レタスやカイワレ大根などを、これも別の皿に盛る。
これで準備万端整った。
あとは、乾杯をして、食べ始める。
海苔を手に取り、しゃもじでシャリを好きなだけ海苔に乗せて、
それからカイワレ、それから、好きなネタを好きなだけ乗せて、
上手にくるむ。
そして、食べる。
トロといくらを一緒に乗せてもいいし、
シャリを思い切り薄くしてサーモンを3枚乗せてもいい。
そうそう、ちょっとだけお醤油をたらしてもいいし、
おとなならちょっとワサビをつけてもいい。
そしておなか一杯、いただく。
わいわい言いながら。
思えば、いくらとトロを一緒に食べることができたのも、
安心して海鮮ものをたくさん食べることができたのも、
自由な気風と海に囲まれた北海道だったからかもしれない。
ちょっと予算をかければ、手間いらずで、みんなで楽しめる。
特別な日に、家でゆったりと、手巻き寿司のパーティをしよう。