リーダー論・その4・人材の育成
リーダーの大事な仕事のひとつが人材育成である。これを考えたい。
リーダーが部下に仕事を教え、
自身の分身となって、ときにはとっさの判断もできるくらいに、
力をつけさせ、集団の仕組みを教え、権限も与える。
そのときに、「せっかく育成した人材である部下が、
集団を出て独立してしまう」という重要な問題がある。
リーダーは何よりもまず、次のリーダーにもなれる人材を、
実践で育てなければならないが、
その人材が、「わたしのもと」を離れていってしまう。
優秀であればあるほど、そうなる。
それくらいの独立心や判断力を持った人間でないと、
本当に才能がある人材とも言えないだろう。
リーダーの悩みは深刻である。
リーダーは、集団をひとつの学校と捉えて、
積極的に、誠意をこめて、人材を育てるべきだ。
学校であるからには、卒業もある。
リーダーの教育方針として、
「立派な人材に育ったら、卒業してもいい」
「わが集団を最高の人材を輩出する集団としたい」
という意欲をもって、人材を育てるとよい。
独立した部下たちは、いわば「親類」となって、
集団をもうひとまわり大きなコミュニティにしてくれるだろう。
また、「将来独立できるだけの力をつけてあげる」という気持ちで育成をしたときに、
人々は「ここまでしてくれるリーダーのところに残りたい」とも思うものである。
人間は、独立心こそが才能の出所であることを、忘れてはいけない。