2018年12月30日日曜日

連載・11 お料理エッセー・そら豆のひとりごと。 七草かゆ。


連載・11 お料理エッセー・そら豆のひとりごと。

七草かゆ。

お正月も明けて、17日は、七草かゆの日である。

お正月に食べ過ぎたおなかを休ませて、

春の代表的な草である七草を入れた、質素なおかゆをいただく。

お正月にはいろいろな儀式があるが、

この時期にこれを食べておくと、その年一年が幸せに暮らせる、

というとてもなにか、今年一年の成功を思う儀式だったのだな、

と思う。

一月にいただく七草は「春の七草」と呼ばれるもので、

セリ・ナズナ・ゴギョウ・ハコベラ・…と、国語の時間に丸暗記したような気がする。

これらの七草、つまりおかゆに入れるべき野菜は、

現代ではそうめったに手に入らない。

万葉集の時代には、この季節にちょっと河原に出れば、そのへんに生えていた草なのかもしれないが、

現代ではまず不可能だと思う。

そして、ずっと「七草かゆ」はあきらめてきたが、

このところ日本では、「原点回帰」ともいうべき現象が起きているようで、

この季節、スーパーマーケットへ行くと、「七草かゆセット」が販売されていて、

ちゃんと七種類の野菜が、セットされている。

値段はそれほどお安くはないし、正直いって、それほどおいしいものでもない。

でも、「季節を感じたい」という人は、いるものなのだと思う。



おかゆの炊き方はとても簡単なものなので、覚えておくと、熱を出したときなどに、

消化が良いので、役にたつと思う。



いったんごはんをたいて、そのごはんを改めてお湯で煮るものは、

「おじや」と呼ぶ。



おかゆは、米から炊くものだ。

一般的に「ごはん」は、コメの量と同じ分量の水を入れて、

炊飯器にかけるのだが、

この水の量を極端に(5倍から8倍くらい)多くすると、

コメが柔らかくなって炊き上がる。

これが「おかゆ」というものだ。



七草は、別のお鍋で、食べやすく刻んだものを、お湯で煮て、薄く塩味をつける。

おかゆが煮えたら、七草の煮えたものを上に載せて、

しゃもじで混ぜる。

こんなかんじで、七草かゆができる。



おかゆは簡単に炊けるので、具はいろいろなものを選んでみるといいと思う。

ほうれんそうや、わかめを煮たものも、おいしい。

梅干しをひとつ載せるのも、とてもいい。

あとは、ペースト状の味付け海苔もいい。

「江戸むらさき」やら「ごはんですよ」。



春の七草のひとつ、ナズナというのはぺんぺん草で、

1月のこの時期、深く根をおろして、地道に生えている。

これを抜くと、本当によい香りがする。

春先の庭仕事は、このぺんぺん草を抜くのが大仕事なのだが、

この香りをかぐと、春なんだな、と思うひとときである。