子宝さずかりコウノトリ♪
昔、女たちは、
子宝を求めて、
夜ごと、地蔵尊に通った。
神さまに願いをかけて、
お掃除をした。
昔、女たちは、
赤ちゃんがほしくて、
御祈祷をお願いした。
赤い蝋燭を灯して、
そこに赤いリボンを結んだ。
昔、男たちは、
金銀を求めて、
冒険の船に飛び乗った。
神さまに願いをかけて、
夜空を見上げた。
冒険と闘争の中に、
安らぎの女神を見出した。
女たちよ、
赤子がほしいなら、
それを絶対に口にしてはならない。
なぜなら、男たちは、
「種馬」扱いされたとたんに、
愛もロマンも失くしてしまうから。
子どもなんかほしくない、
まだまだ母親にはなりたくない、
少女のままでいなさいな。
なぜなら、男たちは、
少女を母親にするために、
挑戦と冒険をしたいのだから。
女たちよ、
男に恋愛を授けたまえ。
情熱に身を焦がすような、
激しい恋心を抱かせたまえ。
なぜそんなに簡単に「落ちて」しまうのかね?
なぜそんなに平気で、
恋を口にするのかね。
女たちよ、口をつぐみたまえ。
恋を知らない少女のように振る舞っていなさい。
そうすると、あなたの前で、
悪い男になりたい彼らが、
あなたを口説き落とすために、
冒険の旅に出るから。
昔、女たちは、
子宝を授かるために、
夜ごと、地蔵尊に通った。
今、女たちは、
子宝を授かるために、
白い建物に通って、
すべてをあけすけに語る。
夫だけしか知らないはずの秘密を、
大々的に語って帰ってくる。
女たちよ。
男にロマンを与えたまえ。
ミステリアスでいてくれたまえ。
男に、プロポーズの言葉を考えさせる、
いとまを与えてくれたまえ。
女たちはなぜそんなに急いで、
男から、奪い取るのだ、人生最高の、
決め台詞を。
女たちよ、どうか、
男たちに与えてくれたまえ、
プレゼントを選ぶ悩みを。
彼女を驚かせるために、
悩み苦しむ夜を与えたまえ。
ああ、女たちよ、
夜も昼もなく闘争する男たちを、
一瞬でも立ち止まらせないでほしい。
女たちよ、
子宝がほしいなら、
決して口にしてはいけない。
恋人にそれを告げてはいけない。
己がどんなに素晴らしい母親になるか、
誇示しても顕示してもいけない。
御祈祷はひとりだけの秘密にしておきなさい。
白い建物は、男の挑戦心を打ち砕く。