秋のお彼岸の中日となった。
日本の文化は、日本人の心にやさしい。
亡くなった人は、いったいどこへ行くのだろうか。
遠い山の向こうだろうか。
遠い海の向こうだろうか。
人の人生のその向こうには、何があるのだろう?
欧米の文化では、そうしたことは、欧米なりの宗教文化で考えるようである。
でも、亡くなった人にまた会える、というような発想はないそうである。
人の人生は終わってしまったらそれで本当に何もかもおしまいなのだそうだ。
それで、苦悩を抱く人も少なくないようである。
日本では、たとえばお盆に、ご先祖様の魂が、家に帰ってきていますよ、という習慣がある。
あるいは、お仏壇のお位牌のなかに、魂がこもっている、とも言う。
あるいは、「あの世」というのがあって、「あの世」という世界に、亡くなった人がいて、時どき、往来ができるのだそうである。
「あの世」というのは、大きな河の向こう岸にある。
「こちらの岸」つまり、私たちのいる現実が「此岸」で、
「あちらの岸」つまり、亡くなった人たちのいる世界が、「彼岸」である。
春のお彼岸と、秋のお彼岸の時期には、この大きな河に、舟が渡るのだそうである。
亡くなった人と、心の交流ができる、というのである。
これは、宗教的なお話でもあるし、また日本の伝統文化という話でもあるから、事実かどうか、という話は場にそぐわない。
ただ、日本のこうしたお彼岸の習慣は、人の心にとても優しい、と思うのである。