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アメリカ中間選挙・これまでとこれから。

昨日、2014年11月4日、アメリカで中間選挙が行われた。
結果は、共和党の勝利である。
上院でも下院でも、共和党が、過半数を獲得した。
オバマ大統領の民主党は、敗北した。

アメリカでは、2年に一度、大規模な国政選挙がある。
4年に一度は、大統領選挙である。
大統領選挙から2年たつと、中間選挙である。
中間選挙の「中間」というのは、大統領の任期4年のちょうど中間にあたっているからである。
この、2年目の中間選挙で、大統領はこれまでの2年間の「成績表」を、与えられるわけである。
2年間の大統領としての政治に、アメリカ国民は、どんな評価を下したのだろうか。
それが、民主党の敗北、という結果であり、結果が評価のすべてだ、ということだろう。

オバマ大統領は、当初はどうだったのかはわからないが、とても民主的で人道的な政治を行おう、としていたように思える。
山積するアメリカ国内の課題を乗り越え、世界的課題にも挑戦しようとした。
特に、核廃絶に関しての演説は衝撃的でさえあった。
あの核廃絶宣言で、ノーベル平和賞を受賞したのであるから、いかに鮮烈な平和宣言だったのかがわかる。

また、健康保険、いわゆる「オバマ・ケア」も、人道的で福祉的でとてもよい政策であったと私は思う。


しかし、アメリカ国民が望んでいたのは、経済の回復と、台頭する中国・アジアに対する課題だった。
アジアに対する課題、というと何のことか、と思うけれども、アメリカ国民は「強いアメリカ」という名誉を望んでいたのであり、GDPや国際的な勢力などで、台頭して勢力を伸ばしつつある中国に対して、「中国に打ち克つアメリカ」を望んでいたのだと思う。

3年前、2011年のクリスマスに、オバマ大統領は、アフガンから全軍を撤退させた。
アメリカ軍にとっては、素晴らしいクリスマスの贈りものであるように思えた。
しかし、同時に、オバマ大統領は、オーストラリア、太平洋に、軍を配備し始めていた。
2011年の年末に、北朝鮮で、金正日氏が亡くなった。
このときに、アジア情勢は、大きく揺らいだ。
北朝鮮での訃報と、アメリカ軍の太平洋配置は、偶然だったのだろうか?
私にはそうは思えない。
しかし、年末の危機は回避された。

翌年、2012年の8月に、私たちが呼んでいる、いわゆる「アジア危機」が訪れた。
中国、韓国、ロシアからの、日本に対する威嚇である。
2012年は、アメリカで大統領選挙のある年であった。
11月の大統領選を控えて、オバマ大統領は、経済的な政策と、アジア政策を、同時に成功させようとしたのではないか、と私は考えている。

アメリカ経済は、軍事で回っている。
軍事経済である。
低迷する国内経済に、軍需景気をもたらそうとしたのが、アジアに対する戦略であった。
もし、あの年の8月にアジア戦略が、オバマ大統領にとって、「成功」していたなら、中国と対立が起こり、アジアと軍事的な衝突が起こって、アメリカには、中東危機以来の、軍需景気が盛り上がったはずである。
また、台頭するアジアに対しても、戦果を成し遂げた、ということになっただろう。
アメリカ国民の、オバマ大統領に対する支持は、熱狂的なものとして盛り上がったことだろう。

しかし、忍耐強いアジアと日本は、アメリカからの戦略を断固拒否して、忍耐強く、持ちこたえた。
その年、10月には、アジアにおける、危機的状況はおさまっている。
オバマ大統領が、11月の選挙が間近になったので、アジア戦略はあきらめたのだと思われる。

それでも、2012年の大統領選挙では、オバマ大統領はからくも勝利を手にした。
しかし、その後の2年間、つまり今日までに、アメリカは、世界的な評判を、落とした。

アジアも、ヨーロッパも、アメリカが「ヒーローぶっている」ことに気が付いてしまったのである。
世界のヒーロー・アメリカは、実は戦略であちこちに紛争を起こして、その後、軍を出動させて、民主化に協力したふりをしている、演劇性の高い国だ、ということが、世界中にばれてしまったのである。

アメリカ国民も、経済的な低迷と、アジアや世界情勢に対する、アメリカの権威の失墜に耐えられなくなってしまった。
それが、今回の中間選挙の結果として、現れたのだと思う。

オバマ民主党の敗北は、そのまま、アメリカ国民の敗北でもあると、私は思う。


今後のアメリカは、どのように国内政治を治めていくのだろう。
今後の世界情勢はどうなるのだろう。

すでに2年前から、世界の勢力分布図は変化し始めている。
この変化は、数年から数十年かかるものだろう。
その変遷期の真っただ中にいるのが、現在であるといえる。
これからも、アメリカ中心だった勢力が、分布図をどんどん変えていくことになるだろう。

また、日本にとってみれば、TPPの交渉が、長引くことが考えられる。
しかし、TPPの交渉は、アメリカのオバマ政権が強く要望してきたことであり、アメリカ経済の打開策として、とても期待されてきたものだった。
オバマ政権がこのような状況になったことで、日本にとっても、太平洋地域にとっても、不利であったTPPが、「なしになる」ことは、考えられるかもしれない。

また、世界情勢に関しては、シリアやイスラム国に対しての軍の発動が、今後、オバマ大統領の決断では、できなくなるので、アメリカが、中東に関与できなくなるかもしれない。
これは、アメリカの発言権や行動圏の低下を意味する。

その分、ヨーロッパやアジアが、発言権を大きくすることはあり得るかもしれない。
また、経済に関しても、アメリカ経済の低迷と、アジアや他の地域の成長は、同時に起こるのかもしれない、と思う。

いずれにしても、オバマ大統領は今後2年間は、大統領の職務を遂行しなければならない。
上院も下院も共和党過半数で、四面楚歌、となるわけである。
しかし、アメリカ国民としても、政治は続けて行かなければならないだろうし、また、なんらかの変革を迫られるとしたら、アメリカは、変わらなければならないだろう。

アメリカ国民は、正義漢の顔を、いったん取り下げて、もう一度、一から始めなければならないのかもしれない。

また、もうひとつ特筆すべきは、今回、過半数を占めたのが、共和党であった、とういうことである。
共和党は、保守である。
オバマ大統領の民主党は、革新である。

日本でも、保守が、政権を執っている。
これから、世界的に、保守という思想が強まっていくのだろうか、と思う。

日本とアメリカの関係としては、年末に、ガイドラインの改定がある。
オバマ政権が弱まった状態であれば、ガイドラインに関しても、日本は態度を少し変えることができるのだろうか。
かねてから、日本国内の課題であった、沖縄県の基地問題に関しても、アメリカが沖縄基地を撤退することも、考えられるかもしれない。
日本からアメリカに要求することも可能だろうか。

2年後の大統領選では、共和党の大統領が選ばれることになるのかもしれない。
それまでの2年間で、アメリカを取り巻く世界情勢は、ゆっくりと大きく、あともどりできない状況で、変化していくことだろう。