2014年11月11日火曜日

日中首脳会談について思うこと。

昨日11月10日、日中首脳会談が行われた。
APECが行われている北京で、午後の時間、25分ほどのことだったという報道である。
このときの、「握手写真」が、話題になっている。
冷え込んでいると言われる日中の関係を、そのまま表すような、習近平氏の、苦虫をかみつぶしたような表情を見ていると、誰もが会談の内容や、日中のこれからを、想像してはなんだか、不穏な気持ちになってくる。

日本の側からは、安倍総理大臣は、それなりの礼儀を笑顔を以て、言葉もかけていたが、習近平氏は無言で憮然とした表情であった。
たとえ、人間関係や国際関係があったとしても、こんなふうに、「顔に出す」ことは、なんだか大人げないような気がする。

一方で、韓国の朴大統領とは、うって変った笑顔であるから、こんなに態度がちがってよいものか?と不思議に思う。
韓国側とは、午前中に会談をして、FTAを締結させた、ということであった。

私は思った、今回のAPECは、経済の会議である。
中国と日本との関係も、主に経済の件が、話題となっていたのは、まちがいないだろう。
その経済の話で、日本の総理大臣と、中国の国家主席との一対一の対決が行われたのだと思う。
それは、公式の会談の前には、激しいやりとりのなかで、すでに決定していたのだろう。

だから、日本の安倍総理の表情は、疲れは見えていたとはいえ「勝った」という手ごたえが、感じられた。
他方、中国の習近平氏には、「負けました」「悔しい」「もういいから早く帰ってくれ」という表情が見えたように思う。

経済で言えば、日本はアメリカやオーストラリア、ASEANの東南アジア各国を結んで、TPPの協議が進んでいる。
「今後、TPPが締結される予定である」というだけで、経済の動きはすでに、中国と韓国を取り残して、アメリカ、オーストラリア、東南アジア、日本、そして、遠く太平洋の向こうでは、コロンビアやメキシコ、といった国々まで広がっている。

TPPの協議で、すでに水をあけられてしまった中国は、特に経済に関して「置いてけぼり」を食わされた状態になっている。
近年の、中国経済の翳りは、日本と東南アジア諸国の連携の緊密さと、TPP協議によるもの、と考えて差し支えないだろう。

それでも、今回の、日中首脳会談では、中国側から、なんらかの経済的な譲歩を、強くせまられていたのではないか、と思われる。
中国と日本のFTAであろうか。
二国間の関税なしの貿易である。
そんなことをしたら、中国の安価な製品の数々に、日本は圧倒されてしまうだろう。

しかし、安倍総理は、そこをなんとか持ちこたえたか、言い負かしたのではないか、と思われる。

これで、武器を持った戦争は回避された。
しかし、経済戦争は、あった。
その経済戦争には、勝ったのだと思う。