きょうは11月3日。文化の日である。
11月といえば、たいていの日本に暮らす人々にとって、空の青い秋なのだろう、と思う。
でも、私にとっての11月は、もう雪の降る、真冬である。
北海道で暮らす人々にとっては、すでに10月の28日に初雪が降っている。
なぜかいつも28日で、27日ではない。
その前に、雪虫が白く飛び始めている。
「そろそろ雪かな」と思わせる雪虫のふわふわした姿を見ていると、なぜなのか少しときめきながら、じゃがいもや石炭や薪を、備えなくては、と思う。
そして、厚ぼったいセーターを出して、ストーブの支度をする。
支度といっても、年中出してあって、夏でも片づけていないものを、煤払いするのである。
11月は七五三もあるのだが、北海道では10月に済ませてしまう。
子どもたちの晴れ着姿は、雪の振る前がいい。
そうして、雪の降る前に、降る前に、と手際よく着々と準備を整えたところで、「ああ」とばかりに初雪が降るのである。
11月3日の文化の日、というと、照れることなく文化人らしくして、集ったものである。
北海道だけでなく、津軽海峡を渡って遠くから、一年に一度くらいは、文学サークルの仲間で集まろう、と約束してあった。
文化の日は祝日なので、集まりやすい。
一年に一度であっても、文学仲間は時間を感じさせることなく、「先日送ってくださった歌集、読ませていただきました」から始まって「あの本、読みました?」とあふれるように言葉が湧いてくる。
北海道の11月は、雪雲が空に厚く暗くたれこめて、セーターとマフラーと、分厚いコートの月である。
そして、寒く閉ざされた部屋のなかで、ストーブの燃える火を手掛かりに、ぎゅっと集まった仲間にこそ、冬と文学が燃え上がるのである。
巣ごもりの本と林檎と友達と背の高い木々冬は真しろに 聡子
マキリ彫るほのほの中に浮かんでは笑う横顔君と背中と 聡子