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連載・77 包丁、鍋、フライパンを使わないラクラクレシピ(?)

お料理エッセー・そら豆のひとりごと。
このところ、「包丁、鍋、フライパンを使わないラクラクレシピ」なるものが、流行しているようだ。
時短レシピも同じで、簡単に、短時間で、おいしいものを作りましょう、という流行である。
それは、「お料理」というと、むずかしい、時間がかかる、仕事を持っているので短時間で調理したい、それでいて、「カフェランチみたいな」というおいしさと見栄えも付け加えているようなのだ。
これではまるで、「注文の多い料理店」である。

お料理をするときには、包丁、まな板、鍋、フライパンは、シンプルかつ有効な三種の神器ともいうべき調理器具で、わざわざこれらを手放して、何かを作ろうというのだから、現代人の工夫にも恐れ入るところがある。
しかし、ここ20年ほどで、電子レンジは一般家庭にすっかり普及して、あって当たり前のものになった。
そして、レンジとセットともいうべき、冷凍食品も、冷凍の技術が格段に進歩して、いろいろな料理や食材が、おいしく手に入るようになった。

調理器具が発売されるごとに、その使い方、使いこなし方を練習するだけで、ずいぶんと手間取るものだ。
それでも、電子レンジは便利だと思う。
ただ、いろいろ試してみた結論としては、電子レンジで加熱調理したお魚は、あまりおいしくない、と感じる。
それから、昨夜の残りのカレーを温めるときでも、火を通した方がおいしい。
電子レンジでの過熱は、あまりおいしいとは言えない気がする。

現代の若い人たちが、お料理を覚えたいと思うのなら、私は、いったん、基礎からみっちりと、一か月か二カ月は時間をかけて、手作業で練習してみるのがいいと思う。
それを、どうやって練習するか、であるが、ひとつは、「家庭料理」に的を絞るのがよいのではないか、と思う。
というのは、料理の本がたくさん出されていて、とても専門的に分かれているからである。
また、料理研究家の創作料理などもあるので、むしろむずかしい、ということになる。
私は、主婦の友社から出されている料理の本で、家庭料理の基本料理をひとつひとつ作ってみた。

NHKの教育テレビの「きょうの料理」は、NHKだけあって、商品名を出すことができない。
それで、よくわからない名詞が出てきて、なんとも歯がゆい状況である。
また、テレビで紹介する以上は、インスタントの調味料を一切使ってはいけない、という料理研究家のプライドかあるいは良識なのか、そのあたりがあるので、現代のキッチンにはそぐわないところがある。
それでも、このごろは「家庭用のフライパンで充分です」と言ってくれたりもするが、「家庭用」でなければ、どんなフライパンがあるのか、状況がよくわからない。

お料理の専門雑誌は、趣味に特化していて、かなりむずかしい。
見たことも聞いたこともない野菜を使っていたりする。

私が思うのは、「ハンバーグ」「カレーライス」「とんかつ」「コロッケ」「鶏のから揚げ」「天丼」「親子丼」「玉子焼き」「スパゲティ」「そば」「うどん」「てんぷら」「焼き魚」「煮魚」「お味噌汁」…。
こうした、いつも食べる、みんなが食べておいしい料理を、ひとつひとつ、手作りしてみてはどうか、と思うのである。
ハンバーグも、冷凍やレトルトで販売されているし、コンビニエンスストアで買ったお弁当にも入っているものだが、自宅のキッチンで、まずはひき肉をこねるところから、始めてみるといいと思う。

1キロメートル行こうと思ったら、2キロメートルをめざしなさい、という言い伝えは、どんな家事にもどんな仕事にも当てはまると思う。
ハンバーグの本格的な作り方をしっかり覚えてからなら、「ラクラクレシピ」の手の抜き方、電子レンジに代用する部分が、自然にわかってくるのではないか、と思う。
ほんの一か月か二カ月、これらの家庭料理を習得するために、時間をかけてみてはどうだろう、と思う。