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連載・78 フレーバーティー

お料理エッセー・そら豆のひとりごと。

6月も梅雨の季節となった。
これから、6月、7月と、初夏から真夏の季節にかけて、楽しみなのは、ハーブの栽培である。
ハーブは、ヨーロッパの薬草・香草である。
「香草」というだけあって、「草」なので、やはり春から初夏にかけて、さかんに茂って成長していくのが、うれしい。
秋や冬には、この葉を、乾燥させて保存して使うのであるが、初夏から夏は、フレッシュで楽しむことができる。
このフレッシュの楽しみ方を、意外と知らない人も多いかもしれない。
収穫して乾燥させて使うだけでなく、夏には夏の楽しみ方をしてみたい。

今年は、「フレーバーウォーター」というのが、ちょっと人気があるそうだ。
確かに真夏には、水分補給が必要なこともあって、たくさん冷たい水を飲む。
この水に、ジュースとは言わないまでも、ほんのりと香りをつけて、冷やして楽しむのだそうだ。
ガラス瓶のなかに、フルーツ類を刻んで入れて、それからその上にたっぷりと水を注いで、冷蔵庫で冷やすのだそうだ。
これは、真夏になったら試してみたいと、ご近所の奥様もおっしゃっていた。

ハーブのフレーバーティーの楽しみ方も、これと似ている。
ハーブの、薬草としての効能を期待するなら、しっかりと煮出したり、アルコールで浸出させたりするほうがよいかもしれないが、香りを楽しむならもっと手軽である。

このところ、どこのお宅のベランダにも、ラベンダーの鉢のひとつは、置いていないだろうか。
そのラベンダーの花が、紫色のつぼみを、つけ始めてはいないだろうか。

フレーバーティーは、基本的に紅茶である。
ストレートの紅茶で、セイロンやダージリンくらいの、もともとのフレーバーが主張の少ない穏やかな飲み口のものがいい。
それをいれるときに、ベランダの鉢から、ラベンダーの花を、花は集まって咲いているので、この集まりを、指先でちょんと摘むといい。

それは、ひとつでいいので、ティーポットに紅茶とラベンダーを入れて、熱いお湯を注ぐ。
香り、ラベンダーの香り。

初夏の季節に生まれた人は、初夏が一番、気分がいいのだという。
これから夏を迎えるときに、まさにあつあつの気持ちと爽やかな風と、緑いろを濃くする季節に、生まれた人は、どんな運命とどんな風を、持っているのだろう。

きっと、ワールドカップサッカーの、あの選手たちが駆け抜ける、グリーンのグランドのような風なのだろう。

風にグリーンやラベンダーの香りがつきはじめるこのごろ、一杯のフレーバーティーが、さまざまな記憶を、呼び覚ましてくれる。