NHK「マッサン」第20週「夏は日向を行け冬は日陰を行け」感想。

朝の連続テレビ小説「マッサン」。
主人公の政春とエリーは、四十代の後半を迎えている。
長年の夢であった、日本での本格的ウイスキー造りを始め、販売も開始した。
養女のエマも、すくすくと育っている。

私は、こうして「マッサン」の感想を考えたり書いたりしながら、ひとつのテーマを追いかけている。
それは、私自身がとても知りたいと願うテーマだからでもある。
「男のサクセスストーリー」である。

政春は、いよいよ事業が軌道に乗る、というときに、次なる試練にぶつかる。
ぶつかる、というよりは、呑み込まれる、という言い方のほうがぴったりとくるだろうか。
時代の波に呑まれるのである。

戦争が始まる。
時代の大きな急激な変化と共に、仕事にも、あらたな試練が与えられる。
サクセスのためには、この時代の波に、立ち向かい、対処し、ときには適応しなければならない。
大きな判断もしなければならない。

政春のウイスキー工場は、海軍指定工場となったために、軍に供出するためのウイスキー造りを命じられる。
多くの会社が、戦争のために、閉店を余儀なくされたかもしれない。
しかし、政春の場合は、軍需景気となった。
工場は人手がもっとたくさん必要となり、人員を増やすために、採用試験を行う。

ここで採用されたのが、ある母娘である。
この母は、夫を戦争に送り出し、その夫は戦争で亡くなったという状況である。
そして、エリーのもとで、家政婦として雇われることになったときに、複雑な心境に陥り、エリーを見張る特高に、告げ口をしてしまうことになる。

政春は、家庭も家族も守らなければならない。
国際結婚である。
結婚当初は、家族に反対されることはあっても、街中で批難を浴びたり、警察に目をつけられることはなかった。
しかし、時代が変化したので、国際結婚が、問題となってしまうのである。

友達のキャサリンは、イギリス行の船に乗り、母国スコットランドに「いったん」帰るようにすすめる。
このとき、「いったん」かりそめの離婚をしなければならない。

政春は、「一度別れたら、二度と会えるかどうかわからない」と言って、イギリス行の決断を遅らせている。
迷って、悩んでいるのだ。
周囲の人たちからは、先に述べたように、皆がエリーと政春の無事を思って、イギリス行の船に乗るようにとのアドバイスもあるし、早く決断したほうがよい、と忠告もされる。
政春は悩みぬいた末「エリーを守り切れる自信がない」と言って、離婚届に判を押そうとする。
これもまた、時代の波に適応した対処である。

男として、判断力、決断力が必要となってくる。

戦況がどうなのか、いつまで続くのか、先行きも読めない状況のなかで、社長として、一家の大黒柱として、判断をしなければならない。
このときの判断が、会社と家族の将来の、明暗を分けることになるのだ。
命さえもかかっている。

結局のところ、エリーは自分自身の意思で、日本に残ることにした。
特高に連行されそうになったときも、「私は亀山エリーです」としっかりとアイデンティティを名乗っている。
また、政春も、身体をはって、エリーをかばう。

まさに、命をはって、身体をはって、判断し行動する。
これが、時代の波に呑みこまれようとする、男の道である。

時代の波だけではない、と私は思うようになった。
ひとつの夢、ひとつの会社、ひとつの家族を守り、生きていくためには、デフレやインフレ、政策や、最近ではTPPというのもある。
歴史も経済も、そして人の心も、すべての知識を手に入れて、そして、勇気を持って判断する。
それが、男のサクセスストーリーの、大きな醍醐味である。


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