2015年11月7日土曜日

浅田真央さん。「素敵なあなた」


冬が始まった。
フィギュアスケートのシーズンである。
私は、フィギュアスケートが大好きで、
だから冬のシーズンが大好き、といってもいいくらいである。
今年の冬は、「あの」浅田真央さんが、
一年間の休養ののちに、姿を現した。
きのうのショートプログラムでは、ジャズの名曲「素敵なあなた」を、
熱演された。
本当に素晴らしかった。
一年間の休養が、浅田さんにとてもよい「豊かさ」と「余裕」を与えてくれたように思った。

今夜は、グランプリシリーズ中国杯で、フリーの演技が披露される。
とても楽しみである。
フリーの曲目は「蝶々夫人」である。

「蝶々夫人」は、日本人女性の純粋な愛情を描いた物語である。
作曲家のプッチーニは、こうしたアジアティックな名オペラを、
数多く残した作家である。
その代表作がこの「蝶々夫人」である。

私たち現代の日本人女性が、この物語に触れるとき、
それは、とても悲しく、時には「悔しく」思える愛の形を見る。

それは、戦後間もないころである。
舞台は、日本の長崎である。

たくさんのアメリカ海軍兵士がやってきて、
日本という「現地」で恋愛をし、
「かりそめの」愛を誓って、結婚式を挙げた。

そして、日本での海軍の任期が終わると、
恋愛もそこで終わらせて、
さっさとアメリカに帰ってしまうのである。
そして、日本での愛も妻もなかったことのようにして、
アメリカで新しい、アメリカ人の妻をめとり、
人生を送っていく。

蝶々夫人は、そうした、戦争のあとに起こった、
「現地妻」の、状況を描いたものである。
決して帰ってこないつもりで、いつわりの愛を誓う夫、
その結婚を心配する日本の人々、
しかしここでとても大事なのは、
信じる気持ちと、純粋な愛情を持つ、蝶々夫人の、
希望を持つ愛情なのである。

プッチーニが描きたかったのは、
若い女性の持つ、純粋な愛情である。
アメリカへ行ってしまう、(本当は帰ってしまうのだが)夫が、
「きっと必ず私のところに帰ってきてくれる」
「そして迎えに来てくれる」と、信じて、
再会のときを夢に見るのが、この曲、「ある晴れた日に」
である。

私たち、日本の女性が、このオペラを思うと、
本当は悲しい。
本当はつらい。

でも、プッチーニが日本女性のなかに見たのは、
悲しみのなかで、生き生きと夢見る、
純粋な乙女の恋心なのである。

今夜も、必ず見ています。
浅田さん、フリーがんばってくださいね。
応援しています!