2015・ノーベル賞ウィーク。


今年も秋のノーベル賞ウィークがやってきた。
連日、速報が鳴り響く。
近年では、インターネットの動画で、発表の様子を、ライブ中継で見ることが出来る。
ノルウェーで行われている発表会の緊迫した様子が伝わってきて、どきどきする。
こうして「世界」に触れると、本当になにかこう、未来へのワクワクした気持ちが高まる。

月曜日の夜は、医学生理学賞の発表だった。
日本から、大村智博士が、授賞された。
微生物学の片りんに属する私としても、本当に本当にうれしかった。
長年にわたる、コツコツとした努力が実を結んだのだと思う。
「成功の理由は?」と記者会見で問われて、「私どもの研究は、共同研究ですから」という言い方は、とてもそのとおりで、うれしいものだった。
生物学の研究を本当にわかっているかたの言葉だと思った。
これから、日本でも世界中でも、微生物学の研究にスポットライトがあたって、予算も充分に組まれて、ますますの発展が期待される。
本当にうれしかった。
おめでとうございます。

昨夜、火曜日の夜は、ノーベル物理学賞の発表だった。
聞きなれないノルウェーの言葉に耳を澄ませていると、まちがいなく、日本人の名前が読み上げられていた。
「スーパーカミオカンデ」の言葉も聞こえる。
ニュートリノの研究で、日本の梶田隆章博士が、授賞された。
本当に素晴らしいことである。
飛騨の山奥に、地下1000メートルの深さに掘った、スーパーカミオカンデの話は私もよく知っていた。
日本の研究者の、真面目で繊細で誠実な性質が、こうした研究成果をもたらすのだと思う。
ニュートリノというのは、どこまで細かく小さいのだろうか。
宇宙の始まりに関しても、これからもっともっと研究が進むという。
また、これからの日本の子どもたちが、こうした研究に興味を持ち、取り組む意欲も環境も整うということだろう。
本当に、喜ばしいことである。
おめでとうございます。

こうして、秋の夜長は、世界的な、人類的な躍進を目の当たりにして、学問の秋を楽しむことができる。
きょう7日は、ノーベル化学賞の発表である。
そして、明日8日はノーベル文学賞、あさって9日はノーベル平和賞と、発表が続く。
週明けの12日月曜日は、ノーベル経済学賞の発表である。

明日8日の、ノーベル文学賞は、日本中の人々にとって、本当にやきもきして、ざわつく夜になりそうだ。
大江健三郎氏のノーベル文学賞受賞が1996年であったから、もう19年たっている。
そろそろまた、日本にも「賞が来る」のではないかと、期待されている。

日本からの候補というか、ノーベル賞には「候補」というのはないそうだが、話題になっているのは、村上春樹氏だそうである。
村上春樹といえば、日本でも30年ほど前に、いっせいを風靡した作家である。
近年また、若い人たちに流行が来ていて、30年まえの作品が、最近になって映画化された、ということだ。
また、英訳、仏訳もされていて、独特の文体は英訳しても伝わるようで、特に中国の若者などに、人気があるということである。
世界中の、海外文学ファンにとって、やはり「読みやすさ」「面白さ」という点で、村上文学は、広く読まれている、ということだと思う。

でも私は、あえて言うとすると、村上文学が、日本を代表する世界的文学だ、とは、思えないところがある。
30年まえの日本と言えば、欧米への傾倒がまだまだ強く、自国の誇りとかアイデンティティが確立されていなかったころだ。
それで、イギリスのバンド「ビートルズ」の曲が題名になった「ノルウェイの森」や、海外文学を題名にとった「海辺のカフカ」などが、代表作になっている。
これらの文学が、「日本として、日本文化を世界に発信する」という意味で、日本国の代表作と呼べるかどうか、というと疑問である。

大江文学は、日本の伝統文化を隅々まで描きつくしていた。
日本家屋の描写などは、とても印象深い。
川端康成は、日本人の特別に繊細な感性を表現していたと思う。

そうした点から、今の日本を代表する文学を、しっかり選んでほしい、と切に願うものである。
正直、今、村上春樹氏が、ノーベル賞を授賞するとなると、日本の文壇は漂流してしまうと思うのである。

私が、「日本文化の発信」として、とてもよい作品だと思うのは、五木寛之氏の「親鸞」である。
こうした、日本的な情緒と描写のある日本文学を、世界に発信していきたい、と願うものである。

今夜も明日も、ノーベル賞ウィークはまだまだ続く。
涼しく穏やかな秋を、じっくりと味わっていきたい、と思う。


ノーベル賞ホームページ → http://www.nobelprize.org/


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