NHK「マッサン」第16週「人間到る処青山有り」感想。

朝の連続テレビ小説「マッサン」。
昨年2014年10月から放送が開始されて、三か月を過ぎた。
政春の人生も、転換期を迎えて、北海道編が始まっている。
出資金を集めることができて、妻のエリー、娘のエマと共に家族三人で北海道に渡った政春の、最初の最初が描かれた一週間である。

まずは、以前、余市でお世話になった森野熊虎さんにご挨拶である。
ウイスキー造りにとても適している気候・地形の、ここ余市で、地域一番の実力者である森野熊虎、愛称クマさんに力になってもらえば、ウイスキー工場の設立に向けて、大船に乗った気分、だと思われた。

しかし、出会ってから数年で、北海道の日本海側には、ニシンの群れはもう来なくなってしまっている。

私も、北海道の地域の歴史で習ったとおりである。
本当に、ニシンの群れはなぜ、日本海に来なくなってしまったのだろう?
海流が変化したのだ、という説もあるし、ニシン漁のしすぎで、ニシンが減ってしまったという説もある。
どちらにしても、盛大にニシン漁をしていた時期と比べると、クマさんの生活は激変していた。
借金があって、家、それも大きなニシン番屋を売らなければならないような状況である。

そして、ここで、ドラマでは何度でも繰り返される、父と息子の葛藤が描かれる。
クマさんと、息子の一馬が、折り合わないのである。
一馬は、「お母さんに苦労をかけた」と言って、父親であるクマさんに反抗する。

父親と息子とヒロイン、これは、朝ドラの定番であるようだ。
こうした難題を解決して、確執ある父子を仲直りさせるのが、朝ドラヒロインの伝説的な女性の能力である。
考えてみれば、親子なのだから仲良くしてほしい、という気持ちが、女性にはいつもある。
しかし、父と息子がなんらかの確執を抱えているのも、定番中の定番である。

ドラマのなかに限らず、実社会でも、女性の能力として、父子を仲良くさせられるかどうかは、女性力、女子力、というわけなのだろう。

エリーはここで、その実力を発揮してみせる。

ところで、男のサクセスストーリーのほうを、追っていくことにしよう。
政春は、あてにしていたクマさんの評判が悪いので、かえってよそ者として、話がうまくいかなくなってしまう。
最初のうちはリンゴジュースで工場の資金を回転させるため、リンゴ組合から、リンゴの実を譲ってもらわなければならないのだが、「あげない」と言われてしまう。
また、土地の買収も頭の痛い問題である。

政春は悩み、余市川のほとりに立って、この川の水、将来はおいしいウイスキーになるであろう、きれいな川の水を眺めている。
妻のエリーもやってくる。

このシーンは印象的である。
立つふたりを、カメラが下から上に見上げるように構える。
そうすると、北海道の空がとても広く青く、映るのである。
エリーはつぶやく。
「この空は、どこまでも広がっている。スコットランドにも、大阪にも、広島にも」と。

政春は、リンゴ組合から、「本当にこの厳しい北海道でやっていく気があるのか、弱気なら帰れ」とまで言われている。
北海道開拓の歴史も話を聞いている。
そして、ここで、一生、北海道で生きていく覚悟を定める。

男のサクセスストーリーには、「ここで一生、がんばる」と決心することが必要なのかもしれない。
それだけの覚悟がなければ、地域に根を張り、自分の会社を設立し、経営していくこともできないのかもしれない。

ふるさとを出て、新しい大地で、新しい一歩を踏み出す。

結局、クマさんのニシン番屋をそのまま譲ってもらえることになり、人間関係も円滑に恵まれた。
新しい人生の旅立ちに、にぎやかで明るい北国の青空が、よく似合う。