NHK「マッサン」第18週「遠くて近きは男女の仲」感想。

毎週、日本のことわざが、章の題名になっている。
どのことわざも、日本人なら一度は耳にしたことのあるものばかりだ。
あらためて、ことわざの意味を勉強しなおすにも、格好の教材になりそうなNHKの連ドラである。
しかし私は、今回のことわざ「遠くて近きは男女の仲」というのを、「近くて遠きは男女の仲」かと、思い違いをしていたようである。
たずねてみれば、私の友達も、口で覚えているのはやはり、「近くて遠きは」だという。
男女の間には、深くて暗い河がある、とも言われているので、そう思い込んでいたのかもしれない。

ところで、今週は、主役の政春は、結婚してから初めての仲人をすることになる。
エリーも、いかにも主婦らしく、独身男女の仲を取りもつことになる。

こうして、独身男女の仲を取り持つのは、年増の奥さんの大切なお仕事である、といっても過言ではない。
特に、夫君は、男子のほう、細君は女子のほうに、話をつけて、ふたりをくっつける、というわけである。

それでも、やはり主役は、恋する二人である。

男性のほうは、政春の広島時代からの仕事仲間、俊兄である。
女性のほうは、政春が北海道・余市に来たときに知り合って、そのままそのニシン番屋を引き継ぐことになった、ニシン漁の親方クマさん、その娘さん・ハナである。

思えば、ハナに連れられて、余市の丘に登り、余市川と、川のそばの泥炭を知ったのであった。
ハナは、ニシンの漬物の漬け方や、塩辛の作り方も、エリーに教えてくれる。

ハナの父親クマさんは、会津から北海道に渡ってきた開拓一世であるが、ハナは、北海道で生まれた、北海道の娘さんである。
よくできているドラマで、北海道の方言やイントネーションを、上手に表現していて、そして、演じる女優の小池栄子さんも、物おじせず、はきはきしていて、本当に北海道の女性らしく、なんだかたくましい。

俊夫とハナは、ともかくケンカ友達、というかんじである。
俊夫は、猪突猛進型、というか、何事においてもまっしぐらで、融通が利かないところもある。
こうしたケンカ友達が、実際に「くっつく」ことは、本当はむずかしいことなのかもしれない。
本当は好きなのに、会えばケンカばかりなのである。
だからこそ、大人の仲人が必要なのだろう。

考えてみれば、よくある恋愛の歌のように、「恋しくて恋しくて」「会いたくて会いたくて」というように、自分で恋心を自覚することもむずかしい、それが本当の恋なのかもしれない。
主題歌「麦の唄」二番の歌詞にあるとおり、「惑う」というのが、恋なのではないか。
私はいつも思う、「あなたといると自然のままでいられる」というのは、実は相手に興味がない証拠なんじゃないだろうか。
切なくて命がけで、というのは、ロマンス小説の読みすぎの幻想なのではないか。

本当に一生、親友同士としてもパートナーになっていける男女というのは、こうして友達であったり、ケンカをしたり、命令されるのが気に入らなかったり、近づいたり遠のいたりして、適度な距離があるものなのかもしれない。

それは、ロマンチックな「恋」からは、程遠いようであるが、本当に夫婦となれる人間関係は、ここにあるのではないか、と思うのだ。

とかなんとか理屈を言っているよりも、本当に見ていて楽しくてアツアツで、うれしい一週間だった。
ハナの花嫁姿もとてもきれいで、美しかった。

付けたしのようになるけれども、エリーと政春の夫妻も、こうして大人として社会のなかで役割を果たしていくのである。
会社の経営もうまく行って、リンゴのワインはニッカのシードルとなり、甘くて女性にも飲みやすいおいしいお酒であるが、これは俊兄が研究開発したもので、恋している男性が作るには、甘すぎるほど甘いお酒で、それから…。

あれこれ評論するよりも、ともかくまずおめでとうございます。
今週の主役は、やっぱり恋する二人である。


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