2024年3月9日土曜日

🇺🇸バイデン大統領の一般教書演説 全文

 とても良い文章で、とてもアメリカ的で素敵なので、

お時間あったら、ぜひ全文を読んでみてください。


バイデン米大統領「民主主義を守る」 一般教書演説全文:日本経済新聞 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN085VV0Y4A300C2000000/


こんばんは。下院議長閣下、副大統領閣下、議員の方々、米国民の皆さん。

1941年1月、フランクリン・ルーズベルト大統領は米国民に向けて演説するためにこの議場に来た。彼は「私はわが国の歴史で前例のない時にあなた方に演説している」と言った。当時、ヒトラーが台頭し、欧州では戦争が荒れ狂っていた。

今は平時ではない

ルーズベルト大統領の目的は議会を目覚めさせ、平時ではないと米国の人々に警告することだった。自由と民主主義が世界で攻撃を受けていた。

今夜、私は米国民に向けて演説するために同じ議場に来ている。いま、米国の歴史で前例のない時に直面しているのは私たちだ。今夜の私の目的は議会を目覚めさせ、今この時も平時ではないと米国の人々に警告することだ。

リンカーン大統領と南北戦争以来、今日ほど自由と民主主義が米国で攻撃を受けている時はない。


現在がまれなのは、自由と民主主義が全く同じ時に米国でも海外でも攻撃を受けていることだ。

海外では、ロシアのプーチン(大統領)が台頭し、ウクライナを侵略し、欧州全土とそれ以上に混乱を広げている。この議場でプーチンがウクライナで止まると考えている人がいるとしたら、私は保証する。プーチンは決して止まらない。

我々がウクライナを支持し、自衛のために必要な武器を提供すれば、ウクライナはプーチンを止めることができる。ウクライナが要請しているのはそれだけだ。彼らは米兵を要請しているわけではない。ウクライナで戦っている米兵はいない。そして私はその状態を保つと決意している。

しかしいま、ウクライナへの支援は、米国が世界でのリーダーシップを投げ出すことを望む者たちによって妨げられている。

共和党の大統領、ロナルド・レーガンが「ゴルバチョフ氏、この壁を取り壊しなさい」とほえたのはそれほど昔のことではない。私の前任者、共和党の前大統領は、プーチンに「何でも好きにしたらいい」と言った。米国の前大統領が実際にそう言ったのだ。ロシアの指導者に低頭して。法外で、危険で、容認できない。

米国は、第2次世界大戦の後に戦争を防ぎ、平和を保つために民主主義諸国が設立した軍事同盟である北大西洋条約機構(NATO)の設立メンバーだ。今日、我々はNATOをこれまでになく強力にした。

我々は昨年、フィンランドをその同盟に迎え、そして今朝、スウェーデンが公式にNATOに加盟した。今夜、スウェーデンの首相がここにいる。首相閣下、世界最強の軍事同盟であるNATOへようこそ。


議会に向けて言いたい。我々はプーチンに立ち向かわなくてはならない。超党派の国家安全保障法案を私に送ってほしい。歴史が注視している。米国が背を向ければ、ウクライナを危険にさらす。欧州を危険にさらす。我々に損害を与えようとする者たちをつけあがらせ、自由世界を危険にさらす。

私のプーチン大統領へのメッセージは単純だ。我々は背を向けることはない。我々は屈服しない。私は屈服しない。

自由で公正な選挙を尊重

歴史は注視している。3年前の1月6日に注視していたように。

反乱者がまさにこの議事堂に乱入し、米国の民主主義の喉元に短剣を突きつけた。あなた方の多くがあの暗黒の日々にここにいた。我々は皆、自分たちの目で反乱者たちは愛国者ではないのを見た。彼らは平和的な権力の委譲を阻止し、人々の意思を覆すために来た。

議会占拠事件と2020年大統領選に関する嘘、そして選挙を盗もうとする企ては、南北戦争以来、米国の民主主義に最も深刻な脅威をもたらした。

しかし彼らは失敗した。米国はひるまず、民主主義は勝った。しかし脅威は残っており、民主主義を防衛しなくてはならないということを正直に認めなくてはならない。

私の前任者とあなた方の中の一部は、議会占拠事件の真実を葬ろうとしている。私はそうはしない。真実を語り、嘘を葬る時だ。

最も簡単な真実はこうだ。自分が勝つときだけ自分の国を愛することはできない。私が当選して以来してきたように、皆さんにお願いしたい。党派に関係なく団結し、米国の民主主義を守ろう。

内外の全ての脅威から防衛するという宣誓を思い出してほしい。自由で公正な選挙を尊重しよう。米国の制度への信頼を回復しよう。そして米国に政治的な暴力の存在は決して許さないと明確にしよう。歴史は注視している。


中絶の権利を保障しよう

そして歴史は自由へのもう一つの攻撃を目の当たりにしている。今晩我々と共にいるのはラトーヤ・ビーズリーさん。アラバマ州バーミンガムのソーシャルワーカーだ。14カ月前、彼女と彼女の夫は体外受精の奇跡のおかげで女の赤ちゃんを迎えた。


2人目の子供を授かるために不妊治療を予定していたが、アラバマ州の最高裁は州全体で体外受精による不妊治療を停止させた。連邦最高裁が(人工妊娠中絶の権利を保障した)「ロー対ウェイド判決」を覆したことによって抑制がきかなくなったためだ。

彼女は、夢の実現は待たなくてはいけないと言われた。彼女の家族が経験したことは、決して起こるべきことではなかった。議会が行動しなければ、再び起きる可能性がある。だから今夜、彼女のような家族のために立ち上がろう。

共和党の友人の皆さん、家族をこれ以上待たせないでほしい。全国で体外受精の権利を保障しよう。

大半の米国民と同様、私はロー対ウェイド判決は正しい判断だったと信じている。生殖の自由とそれ以上の自由を守っている素晴らしいリーダーのハリス副大統領に感謝する。

しかし私の前任者はロー対ウェイド判決を覆す決意を持って大統領になった。判決が覆されたのは彼が原因だ。実際、彼はそれを自慢している。その結果の混乱を見るがいい。

今夜私たちと共にいるのはケイト・コックスさん。(テキサス州)ダラスの妻で母親だ。彼女が再び妊娠したとき、胎児は命に関わる疾患を抱えていた。彼女の医師は、彼女が行動しなければ彼女自身の命と、将来子供を持つ能力が危険にさらされると言った。


中絶を禁止したテキサス州法のために、ケイトさんと彼女の夫は彼女が必要なケアを受けるために州外に行かなくてはならなかった。彼女の家族が経験したことも、決して起こるべきことではなかった。しかし他の非常に多くの家族に起きている。

(中絶を)選ぶ権利を禁止し、医師を犯罪者として扱い、レイプや近親相姦(そうかん)を生き延びた人々にも必要なケアを受けるために州外に行くことを余儀なくさせる州法がある。

この議場にいるあなた方の多くと私の前任者は、生殖の自由の禁止を全米で可決すると約束している。次はどの自由を奪うのか?

ロー対ウェイド判決を覆す判断の中で、連邦最高裁の多数派は「女性には選挙や政治の力がないわけではない」と書いた。全くその通りだ。ロー対ウェイド判決を覆したことを自慢している者たちは、あきらかに米国の女性の力を全く分かっていない。

生殖の自由が争点となり2022年、23年に勝利したとき、彼らは気づいた。24年にも再び思い知るだろう。


米国民が(中絶を)選ぶ権利を支持する議会を私に与えてくれれば、約束する。ロー対ウェイド判決を再び確立した法として復活させる。

我々はパンデミックを切り抜けた

米国は後戻りできない。私は今夜ここで、前進する道を示す。我々がどれだけ前進してきたかを知っているからだ。

私が(大統領に)就任する前、米国は今世紀最悪のパンデミック(世界的大流行)と最悪の経済危機に襲われていた。あの不安、記録的な雇用喪失を思い出してほしい。犯罪の急増、殺人率を思い出してほしい。

荒れ狂うウイルスが100万人以上の米国民の命を奪い、数百万人もの愛する者たちを残した。孤立と孤独によるメンタルヘルスの危機。私の前任者は、最も基本的な義務を果たせなかった。いかなる大統領も米国民の面倒をみる義務を負う。許すことはできない。

私は米国の歴史で最も困難な時期の一つを切り抜ける決意を持って就任した。そして我々は切り抜けた。ニュースにはならないが、数千もの都市や町で米国の人々が最も偉大な復活の物語をつづっている。

この物語を今、この場で紹介しよう。米国の再起とは、米国の未来の可能性を作り上げ、トップダウンではなくボトムアップとミドルアウト(低所得層と中間層の底上げ)で経済を構築し、米国全土、そしてすべての米国民に投資し、皆に公平な機会を与え、誰も置き去りにしないことだ。


パンデミックはもう、我々の生活を支配していない。我々を新型コロナウイルスから救ったワクチンは今、がんと闘うために活用されている。

挫折を転機に再起する。それが米国だ。