2016年11月21日月曜日

フィギュアスケート2016のシーズンです!


今年も、冬がやってきた。
街に少しずつ鈴の音が聞こえるようになると、フィギュアスケートのシーズンになる。
今年も、羽生結弦選手の活躍が、楽しみである。
11月25日には、札幌の真駒内スケートリンクで、NHK杯が行われる。

早いもので、あれからもう、一年たっている。

羽生選手は、私もカナダの試合のときは見させてもらったけれども、オフシーズンの間に、しっかりと体を鍛えて、ますますしなやかで強靭になって、リンクに戻ってきたように思う。
きっと、誰も知らないところで、血のにじむような練習をしていたのだ、と誰もが気づくくらいである。

さて、今年のショートプログラムは、プリンスの「Let’s Go Crazy」である。
昨年の、ショパンから打って変わって、イメージチェンジをはかろう、という魂胆であろうか。
しかし、バックハンドで裏打ちする、このソウルなナンバーは、羽生選手には、「パリの散歩道」くらいの、荒々しい調子で、演技できるだろう、と思う。
まだまだ、ショパンのころの、「気品」というものが、見え隠れしてしまうのだが、ここはどうぞ、ありのままに、クレイジーになってくれるものだ、と思わされて、とても楽しみである。

フリープログラムは、久石譲の「Hope&Legacy」ということになった。
世界に見せつけるには、まったく久石氏以外に、音楽担当は見当たらない。
素晴らしいプログラムだと思う。

久石譲氏は、かのスタジオジブリの音楽を、ずっと担当していて、みんなが、世界中のみんなが、耳なじみのいい、きれいなピアノの音楽を奏でてくれる。
今回の音の印象は、「天空の城・ラピュタ」の、空を飛ぶイメージかな、と思う。
久石氏の音楽は、短調を使っているところにとても特徴がある、と思う。
短調というと、日本音階というか、アジア的な音階で、センチメンタルな、悲しい印象になる。

そう、私は思うのだが、久石氏の音楽には、「悲しみ」が、一面に奏でられている、と思うのである。

しかし、「ホープ&レガシー」という題名である。
この、「希望と伝説」は、何を意味するのだろうか。

羽生結弦選手に、久石氏から贈る音楽、という意味では、羽生結弦選手が背負っているたくさんの「応援」を意味しているのではないか、と思われる。
それは、東日本大震災の、悲しみと、そこから復興する、できる、という「希望」である。
東日本大震災は、歴史に残る、悲しい伝説となった。
でも、本当にそれを伝説にするのは、私たち人間の力ではないか、と思う。
復興ができて初めて、それは、「伝説」となるのかもしれない。

「ホープ&レガシー」について、私は、私なりのもうひとつの「思い」を描いてみている。
それは、昨年のシーズンで、羽生選手が、300点越えの素晴らしい成果を記したことである。
これは、まったく本当に「伝説」「レガシー」である、と誰もが思っている。

そこにあった、「ホープ」とは、何だったのか。
久石氏も、羽生選手の周りの人たちも、私たち応援する人々も、皆が心をひとつにして思っている。

そう、昨シーズンは、世界中にテロや紛争が広がって、皆が絶望のどん底に沈んでいたときだった。
もう、地球人類の歴史は終わってしまうのではないか、世界戦争が始まるのではないか、未来なんかないのではないか、と思われたときだった。

そのときに、二十歳の声をあげようとする、すらりとした若者が、本当に素晴らしい、努力の結果、皆の平和への思いの結晶として、あのような素晴らしい演技をしてくれた。
私たちは、夜は、テロが怖いから、家に入って、テレビを見るしかなかった。
そのときに、明るい氷の白色と、輝きと、歓声と音楽と、ステップとジャンプを、くれた。

それが私たちの希望となった。

私は思う、「ホープ&レガシー」は、昨シーズンの、羽生選手への、「ありがとう」の気持ちであると。
あれから一年たって、春が来て、夏が過ぎて、秋そして、冬となった。
こうして、一年を生きてこられたのが、奇跡のようである。

あのとき、テロが起こるかもしれない怖い夜に、テレビの画面が輝いていた。
輝きのなかにいた、羽生選手、これが、「ホープ&レガシー」なのではないか、と私は思う。

今シーズンも、応援しています。