2023年9月8日金曜日

G7唯一マイナス経済成長のドイツ

G7唯一マイナス経済成長のドイツ――その陰に高い対中依存 9/8(金) 13:27配信 38 コメント38件 新潮社 フォーサイト ドイツ「G7唯一のマイナス経済成長」の一因は、最大の貿易相手国・中国の経済失速である  国際通貨基金(IMF)は7月25日に公表した世界経済見通しの中で、「2023年のドイツの国内総生産(GDP)成長率はマイナス0.3%」という悲観的な予測を打ち出した。IMFがG7諸国の中でマイナス成長を予測したのは、ドイツだけだ。  IMFの予測によると、ドイツの2022年のGDP成長率は1.8%だったが、2023年にはマイナス0.3%に下落する。ユーロ圏の2023年の予測成長率は0.9%なので、ドイツはユーロ圏全体の成長率を引き下げていることになる。  本来はユーロ圏を力強く牽引する機関車役になるべきドイツが、「欧州の劣等生」の地位に転落した。 失業者数・企業倒産件数が増加  実際ドイツ経済のパフォーマンスを示す指標を見ると、至る所で警戒信号が点滅している。この国は、去年冬から今年春にかけて景気後退(リセッション)に突入した。連邦経済気候保護省(BMWK)の今年8月14日の発表によると、2022年第4四半期のGDPは、直前の四半期に比べて0.4%、2023年第1四半期のGDPは、直前の四半期に比べて0.1%減った。  欧州連合(EU)では、マイナス成長が2つの四半期連続で起こる状態はリセッション(テクニカル・リセッション)と定義されている。ドイツ政府によると、2023年第2四半期のGDP成長率は0%、つまり横ばいであり、まだ本格的な回復傾向を示していない。  連邦統計局によると、今年7月のドイツの失業者数は261万7000人で、前年の7月に比べて14万7000人多かった。失業率は2022年7月には5.4%だったが、今年7月には0.3ポイント多い5.7%となった。  大きな懸念の源は、企業倒産件数の増加だ。BMWKによると、今年5月には1478社が倒産したが、これは去年5月の件数(1242件)を19%上回っている。去年1~5月の倒産件数は5973件だったが、今年1月~5月には約17.6%増えて7023件になった。  ドイツ中小企業研究所(IfM)によると2011年以来、ドイツの企業倒産件数は年々低下していたが、ロシアがウクライナに侵攻した2022年には、企業倒産件数が前年比で4.3%増えて1万4600件となった。企業倒産件数が増加したのは、2011年以来初めてだ。ロシア・ウクライナ戦争勃発後にエネルギー費用などが高騰し、消費が冷え込んだためだ。  もう一つの理由は、コロナ関連援助の打ち切りだ。2020年以降、コロナ・パンデミックで収益が激減した企業は、政府による経費肩代わりなどの措置によって生き延びてきた。しかしパンデミックが一段落してこうした支援策が打ち切られたため、倒産する企業が増えている。ロシアのウクライナ侵攻は、10年以上続いたドイツの好景気に終止符を打ったと言える。  特に苦境に陥っているのは、ファッション関連業界・小売業界だ。去年9月には靴メーカーの老舗ルトヴィヒ・ゲルツ(本社ハンブルク)が、今年5月にはアパレル販売会社ハルフーバー(本社ミュンヘン)、6月にはアパレル販売会社ピーク&クロッペンブルク社が倒産した。大手デパート・チェーン「ガレリア・カールシュタット・カウフホーフ」も今年5月に倒産手続きを完了。同社は「業績再建のため、129の店舗の内、52カ所を閉店する」と発表した。私もミュンヘンの「ガレリア・カールシュタット・カウフホーフ」で時々買い物をするが、先日行った時も人影はまばらで、閑古鳥が鳴いていた。  これらの会社は日本人にはほとんど馴染みがないが、ドイツでは多くの市民に名前を知られた企業である。