2023年5月6日土曜日

エジプト、ガーナ、ケニア及びモザンビーク訪問等についての内外記者会見

 

エジプト、ガーナ、ケニア及びモザンビーク訪問等についての内外記者会見

更新日:令和5年5月4日総理の演説・記者会見など
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【岸田総理冒頭発言】

 エジプト、ガーナ、ケニア及びモザンビークへの訪問を終えるに当たり、所感を申し上げます。
 今回、私は、3つのテーマを持ってアフリカ諸国歴訪に臨みました。1つ目は、G7広島サミットを見据え、今回訪問した各国を含む「グローバル・サウス」と呼ばれる国々とG7との間の連携を橋渡しすること。2つ目は、TICAD8(第8回アフリカ開発会議)で示した、アフリカと「共に成長するパートナー」である日本としてのコミットメントを推進すること。そして3つ目は、スーダンの安定化に向けた連携を確認すること、です。
 ロシアによるウクライナ侵略開始以降、私は、多くの「グローバル・サウス」と呼ばれる国々の首脳と意見を交わしてきました。また、G7議長国に就任した年初以降は、G7全ての首脳と対面で議論を深め、本年G20で議長を務めるインドのモディ首相とも考えをすり合わせ、さらに、訪問したウクライナでは、ゼレンスキー大統領と率直な会談を行いました。こうした一連の外交の中で、主権及び領土一体性の尊重といった、疑いようのない、当然の原則の擁護と、法の支配に基づく国際秩序の堅持を繰り返し訴えてきました。また、各国の首脳と意見交換をする中で、個々の国が直面する多様な課題に耳を傾け、その解決に向けて真摯に協力していかないことには、こうした訴えも賛同を得がたいということも痛感いたしました。「グローバル・サウス」と呼ばれる国々の多くは、食料品高やエネルギー高に傷つき、そして苦しんでいます。その原因は、本来ロシアによるウクライナ侵略という暴挙に求められるべきですが、我々G7による対ロシア制裁がその原因だといった誤った印象などを与えることで、世界を分断しようという動きがあります。そのような中で、今、日本に求められているのは、エネルギーや食料、保健、開発等の分野で、目に見える形でのG7による積極的な協力を示し、G7と「グローバル・サウス」の橋渡しを行い、法の支配を貫徹することです。今回の歴訪において、私は、アフリカの東西南北の主要国を訪問し、各国が直面する様々な課題について協力することを確認しました。そして何よりも、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化の重要性や、力による一方的な現状変更の試みは世界のどこであっても認められないことなどを確認し、国際場裏における連携を強化していくことで一致をいたしました。こうした外交的取組の先にこそ、国際社会の平和と安定、そして我が国の安全と繁栄を一層進めることができると信じています。今回もG7での良い議論に繋がる意義のある訪問になったと考えています。
 昨年のTICAD8では、私から、日本とアフリカは「共に成長するパートナー」であり続けると呼びかけました。アジア・中東と欧州を結節するエジプト。西アフリカ有数の経済拠点であるガーナ。インド太平洋へのゲートウェイであるケニア。資源国として潜在力を有する南部アフリカのモザンビーク。アフリカの主要な経済拠点である国々との間で、日本企業の進出の促進を始めとする経済関係の一層の強化を図るとともに、「自由で開かれたインド太平洋」の新プランの下、海の平和利用や連結性の強化にも取り組んでいきます。また、ガーナでは野口記念医学研究所を視察し、長年にわたる日本の保健分野における貢献を目の当たりにしました。日本の知見を活かし、相手に寄り添った協力を更に進めてまいります。加えて、今回、訪問した各国において、JICA(国際協力機構)専門家や青年海外協力隊員、スタートアップに携わる若手の在留邦人の方々から直接話を伺う機会を持ちました。若手の方々が、日本からアフリカに渡り、アフリカの未来を支える人材として、各国各地で活躍していることに、敬意を表します。日本のこうした若者たちによる、きめ細かな、日本ならではの支援に対して、各国首脳からも、多大なる称賛の声と感謝の念を頂きました。
 各国との間では、戦闘が続くスーダン情勢についても議論を行いました。スーダンからの邦人退避については成功裡に遂行することができましたが、スーダンの不安定な情勢は、今後も地域の安定に悪影響を及ぼしかねません。日本は、G7議長国、安保理非常任理事国として、スーダンの安定化に積極的に貢献します。「アフリカの角」担当大使の派遣や緊急人道支援の実施などを通じ、事態の沈静化や民政移管プロセスの再開、秩序の回復に向け、引き続き各国と連携していきます。
 議長として主催するG7広島サミットまで、あと二週間となりました。国際社会が歴史の転換点を迎える中で、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を守り抜くとの強い意志を力強く世界に示すためにも、これまで世界中で繰り広げてきた外交の成果を広島サミットでの議論の糧にし、G7の結束及び「グローバル・サウス」との連携の強化に繋げていきます。そして、その成果を、「アジアの視点」を持って、今年9月のG20ニューデリー・サミットや、12月に日本で開催予定の日ASEAN(東南アジア諸国連合)特別首脳会議での議論に引き継いでいきたいと思います。明日、シンガポールで行う首脳会談も、その一歩にできればと考えています。
 最後に、我が国の新型コロナ対策について申し上げます。5月8日から、新型コロナをインフルエンザと同じ5類感染症に移行します。5月8日以降、新たなフェーズに入ります。2020年1月15日、日本で初めての新型コロナ感染症患者が確認されてから、約1200日。国民の皆さまには、大変なご苦労、ご心配をおかけいたしました。ウイルスとの戦いに最前線で奮闘された、医療・介護・福祉関係者の皆さま、感染防止対策や営業自粛に御協力いただいてきた、飲食店や宿泊・サービス業を始めとする事業者の皆さま、そして、大切な方々を守るために、最大限の努力をして下さった国民の皆さま、お一人お一人に、心から敬意を表するとともに、御礼を申し上げます。この春、経済再生に向けて、明るい話題が増えています。30年ぶりとなる賃上げのうねりを地方・中小企業に広げるべく、全力を尽くしていきます。さらに国内投資促進、インバウンド、そして新しい資本主義を力強く前に進め、日本経済を一段高い成長経路に乗せていきます。もちろん、新型コロナウイルスが無くなったわけではありません。感染や重症化を防ぐため、ワクチン接種は引き続き、無料で行います。5月8日から、高齢者や基礎疾患をお持ちの方々の追加接種を行います。医療については、今後はより多くの、一般の病院やクリニックで診療を行う体制へと段階的に移行していきます。また、重症者に対する入院調整や高齢者施設における医療体制への支援などは、継続します。感染動向については、日々の感染者数の公表はなくなりますが、定点調査などを行い、感染動向を捉える体制を整備します。また、オミクロン株と大きく病原性が異なる変異株の出現など、科学的な前提が異なる状況になれば、対策を迅速に実施いたします。引き続き、備えを万全にしながら、国民の皆さまが、安心して豊かな暮らしを送ることができるよう、全力を尽くしてまいります。
 最後になりますが、今回の訪問を受け入れてくれた各国首脳及び政府関係者の皆様に感謝申し上げます。ありがとうございました。