ドイツ銀行はアジアへの投資を拡大する。ゼービング最高経営責任者(CEO)が日本経済新聞のインタビューで、総収益に占めるアジアの比率を近年の12〜13%前後から数ポイント上積みし「15%をはるかに上回る水準」とする方針を明らかにした。経営再建中だったドイツ銀行はようやく業績が安定し、攻めの経営に転じる。
ゼービング氏はドイツ南部ミュンヘンで取材に応じた。アジアについて「要となるビジネス」と表現し「成長の大きなチャンス」との見方を示した。欧州企業のアジア進出がなお続いていることから、「メインバンクとして顧客についていく」と同地域への投資を拡大する姿勢を強調した。
ベトナムにも投資、中国は縮小せず
ドイツ企業の国外進出を後押しするために1870年に発足したドイツ銀行は、設立2年後に横浜と上海に支店を設けた。ドイツ銀行の原点ともいえるアジア事業に回帰し、東京では完成したばかりの麻布台ヒルズに拠点を移した。
日本は「アジア地域全体で重要な役割を果たしている」と明言し、M&A(合併・買収)助言業務やトレーディング事業の一段の成長に重点を置くと述べた。「日本企業は技術やイノベーション、働く人々の情熱に誇りを持っている」と評価した。
ベトナムなどでも投資を増やしているほか、「小さな国へも進出を試みる」という。アジアの収益は「時間の経過とともに着実に増加していく」との見方を示した。