2014年4月10日木曜日

小保方晴子博士とSTAP細胞の無限の可能性。

このところ、細胞ブームが起こっている。
まさに、一億総「細胞マニア」となってきた。
一般庶民がこんなに細胞に、生物学に詳しくなったのは、ひとえに、ノーベル賞を受賞された、iPS細胞の山中教授と、STAP細胞の小保方晴子博士のおかげである。
連日連夜、テレビでもインターネットでも、細胞のニュースが「わかりやすく」説明されていて、生物を専門に学んだことがない一般市民の皆さまも、細胞について、一連の専門的知識を披歴することができるようになった。
これは、本当に面白い現象である。

それにしても、報道のこの過熱ぶりには、なにか不思議に感じるものがある。
いったいそれは、どういうものなのだろう?

私は思った、これが、日本人の持って生まれた気質なのではないか、と。

海外ではこんなことを言うそうである。
「アメリカの家に住んで、中国の料理を食べて、日本人の奥さんをもらう、これが世界で一番幸せだ」と。
まさに、典型的日本人気質が表れた、今回のSTAP細胞問題であるように思う。
日本という国において、女性が学問を学び、高等知識を披露するというのは、こうした問題を引き起こすのである。
日本の女性たちは、常にこの、日本的特質のなかで、懸命に努力を続けてきた。
その結果、「かわいいけれど、頭は悪い」あるいは「頭はいいけれど、ブス」という、どちらか片方を選ばなければならなくなった。
日本の男性社会のなかでは、「かわいくて頭もいい女性」は、徹底的にやきもちを焼かれて、からかわれて、たたかれるのである。
「からかう」という行為は、している本人はそんなつもりはない、というが、実際には、嫉妬からくる行為なのである。

まさに、今、小保方さんは、日本中の男性陣から、「からかい」を受けているのである。
そして、また、日本中の女性陣から、「いびり」を受けているのである。
本当に、よくがんばっていると私は思う。
そして、ここをがんばってほしい、と心から思って、応援するのである。

この問題の根本的なところが、私にはよくわからなかった。
ここ数日、旅行をしたりして、同窓の学友に会うことがあり、同じ生物を専攻した友として、話をすることがあった。
また、別の、生物とは専門外の友達ともよく話すことがあった。
それで、明確になってきた事柄がある。
それは、私自身も生物の畑にいた人間なので、今回の一連の騒動の真相が、よくわからなかった、という点が、とても大事であるようだ。
それで、うまくコメントできなかったように思う。

つまり、ひとつは、生物の畑にいる人間であれば、誰もが周知していることがらを、専攻がちがう人たちはまったくわからなかった、ということである。
それは、STAP細胞の研究が何を意味するのか、という点である。
それから、科学者というのは、男性であろうと女性であろうと、高名であろうとなかろうと、真実は真実である、ということである。
また、このSTAP細胞が、どれだけ価値のあるテーマであるか、ということである。
また、STAP細胞とiPS細胞の比較とその関係について、である。

まず、STAP細胞というのは、大学の同窓生もみながみな、考えていたことであるが、異口同音にいうことは「そんなのあるわけない」ということである。
でも、自然科学の世界に、100%ない、ということはないので、これから先の研究結果によっては、そういったことも起こり得るかもしれない、ということだ。
「あるわけない」というのは、つまり、細胞は、受精卵のときには、手にでも足にでも耳にでも皮膚にでもなり得る、万能細胞である、ということである。
これが、成長するにしたがって、分化をしていく。
そして、皮膚の細胞になったら、その細胞は、もうどんなに増やしても、皮膚細胞にしかならない。

実は、生物の世界では、そうでなければ困るのである。
大人の皮膚の細胞が、何か薬剤を一滴降っただけで、耳になったり、足になったりしたら、困るわけである。
もしも、STAP細胞が実用化されて、この薬剤がスプレー容器に入っていて、電車の中で「シュッシュッ」としたら、隣にいた人の腕にかかって、その腕の細胞が、耳になったり足になったりするのである。
こうしたことが起こったら困る。
こうした薬液があったとしたら、ひょっとしたら生物兵器にもなり得る、かなり特殊な薬液となる。
こうしたことは、世界中のどこにも起こっていない。
つまり、生物の世界では、未だ、どこにも起こっていない。
だから私たちは、安心して暮らすことができるのである。

しかしまた、青いバラや、青いチューリップを見てみたい、と思うように、人間の願望は果てしないものがある。
あるいはまた、惚れ薬や毛髪薬も、造ることができたらノーベル賞だと言われているが、そういったものは、まだまだ夢の薬である。
STAP細胞は、そうした、科学者たちが願う、夢の薬である。
それが、「できた」というのだから、とても驚くのである。

実際に、これは、できたのだろうか?
そのあたりで、再現性や論文があやしい、ということになってしまった。

次に、iPS細胞との関係である。
iPS細胞は、元はと言えば、発想の点では、STAP細胞と同じである。
皮膚の細胞から、別の細胞を作り出せないだろうか、という望みである。
もともと最初の受精卵には、すべてになり得る可能性があるのだから、単なる夢ともいえないところがある。
でも、iPS細胞は、とても手順がかかる。
京都大学の山中教授がこの手順を研究開発したことは、とても画期的なことだった。
それにしても、「薬液を一滴たらすだけ」と比べれば、とても手間暇かかる作業ということになる。
なので、もしスタップ細胞が本当のことだとすると、もうiPS細胞は、はいらなくなる。
iPS細胞の必要性それ自体を、否定してしまうことになる。
そして、日本としても海外の研究者としても、万能細胞に関しては、iPS細胞の研究は費用も人員も含めて、すべて閉鎖して、STAP細胞の研究のほうへ投入しましょう、という話になってくる。
もしも、スタップ細胞が本物だとすると、iPS細胞の100倍は、大きな成果なのである。

しかしこれは、こうした研究課題に取り組むことそれ自体が、京都大学やノーベル賞、そしてノーベル賞受賞者である山中教授への、挑戦であり、いわば「殴り込み」である。
こうした、殴り込み的研究とその成果を発表したのだから、世間が騒然とするのも当たり前といえば当たり前である。
こうした研究に取り掛かることさえもおこがましい、というところだ。
そこに取り組んだのだから、若さや情熱、という点が評価される。

京都大学としても、山中教授としても、これは心中穏やかではないのではないか、と思う。
それでも、生物学を学んだものなら誰でも感じる通り、生物と自然界の常識としては「あるわけない」ということなので、そわそわしてしまうところだ。

そうして、念入りに論文や写真を調べることになったのだと思う。
私は実際に論文を目にしていないので、それが事実かどうかわからないが、この論文は引用がとても多いそうである。
科学論文に引用や注釈がつくことは当たり前のことなので、その程度がどれくらいなのか、ということは、実際に目にしてから判断するべき問題である。
写真であるが、わかりやすいように細胞を染めたり、光を当てて影をつけたりすることは、当たり前の実験研究方法なので、素人があれこれいう問題ではないと思う。

再現性については、たとえそれがとても低いものだとしても、かなり条件を絞ったら、再現可能なのではないか、と私なりに想像する。
というのはたとえば、気温が20度なら発現するが、20.1度なら発現しない、とか、季節に関係がある、とか、そうしたたくさんの条件である。
これらは、今一度、たくさんの人員を配置して、きちんと確かめるべきであると私は思う。
また、小保方さんが、こうしたことを言われて悔しいと思うなら、自分だけでも、何年かけてでも、再現の証明実験を重ねて、条件を提示すること、そして、データを明確に提示し、論文を、納得の行くまで書けばいい、と思う。

「ねつ造」という言葉は、たとえば、作家が「盗作」と言われるに等しい言いがかりである。
悪意があった、という意味になる。
それは、京都大学やほかの生物学者や、あるいは、iPS細胞にかかりきりになっている人たち、ここにお金をかけている人たちが、主観的に思うことなのではないだろうか。
科学的な事実を実験を重ねて確かめることをしないで、iPS細胞以上のものが、今から出てきたら困る人たちが、たくさんいる、ということで、STAP細胞をもみ消そうとしているのではないだろうか。
もし、「もみ消し」の動きがあるとすれば、世界的大発見を、日本人の偏狭な女性への偏見でもって、つぶしてしまうことになる。
まさに国家的損失である。

しっかりと、時間とお金をかけて、素直な心にかえって、STAP細胞の可能性を、立証することが大切であると、私は思うのである。
そうして、小保方博士には、がんばってほしい、と思うのである。

私は、この日本社会において、女性が学問をするということ、そのなかで、女性らしい素直な性質の表現を、とても大切にしたいと思っている。
今の50代、60代の女性たちは、男性社会のなかで、学問をして発言をするためには、まるで男のような服装をして、男のような言葉づかいをしなければならなかった。
そういった時代は終わったのだ、と私は思う。

女性らしい、感性と感覚で、自由な服装やファッションをして、女性らしい言葉遣いをして、そのうえで、素晴らしい高度な研究も成し遂げてほしい、と心から願う。
根気と、忍耐力とで、きっとこの問題は乗り越えていける。
こうして、日本中を、「細胞ブーム」に巻き込んだだけでも、次代の子どもたちに生物学の素晴らしさを広めたことになる。
すでに、小保方さんががんばってきた成果が、子どもたちに表れているのである。
これからも、ずっと応援している。
どうぞ、健康に気を付けて、気丈に、一緒にがんばっていきましょう。