2016年4月30日土曜日

NHK連続テレビ小説「とと姉ちゃん」第4週「常子、編入試験に挑む」感想。

毎朝の、元気の源「とと姉ちゃん」も、第4週を終えた。
春から初夏へと季節が移り変わっていく。
春の人事異動や卒業、入学、就職で、ライフスタイルが変化した人も、毎朝の「とと姉ちゃん」と一緒に、毎日の日課を作っていたのではないだろうか。
その「変化のあった視聴者」にとって、どんな困難にもめげない、どんな環境の変化も乗り越えていく、ヒロイン常子は、本当に励まされる存在である。

今週は、しつこく(?)制服問題が出てきた。
NHKにとっても、「ポイント稼げる」テーマであるのかもしれない。
今、女性たちの生き方や生活そのものが、社会問題になっているので、そうしたあたりを、はずさずに描いてくるところが、脚本家・西田征史氏と、プロデューサー・落合将氏の視点の良いところだと思う。

制服、というと、数々の思い出がある、というのが、大半の視聴者ではないだろうか。
私も、甘酸っぱい思い出が、たくさんある。
「♪ セーラーの薄いスカーフで、止まった時間を結びたい~ ♪」
そう、あのスカーフは、とても薄かった。
大人になってから、いわゆる「男子」と話をして、「セーラー服のスカーフって、本当に薄いの?」なんて聞かれたものである。
ついで、「あの服、どうやってできてるの?」「どうやって着るの?」なんて話も、したものである。

セーラーのスカーフが、自分ではうまく結べなくて、女子生徒同士で、休み時間に、結びあいっこなんかもしたものだ。

本当になつかしい。

大半の学校の女子の制服が、セーラー服だったのが、このところは、ブレザースタイルに変化してきているようだ。
AKB48などを見ても、アニメを見ても、高校生や中学生の制服というと、ブレザーである。
つまり、襟つきの上着に、チェックのスカート、といういでたちで、リボンは、縞の入ったようなのを、胸元で留めるようになっている。

「とと姉ちゃん」で、常子の編入した女学校では、いわゆる「赤い棒タイ」スタイルになっている。
これも、昭和の時代には、よく見かけたスタイルである。

こうしたセーラー服の制服スタイルが、いつから変化したのだろうか?
と考えてみると、あれは、おニャン子クラブの全盛期あたりだったのではないだろうか。
例の、あの、可愛い歌である。

それから、同時期に、「スケバン刑事」というのがあって、このスケバンスタイルというのが、セーラー服に、超ロングスカート、というところであった。

本当に、懐かしくもうれしい、制服物語である。
そうそう、松田聖子さんの、「制服」も、甘酸っぱい歌だった…。
あのころ、「東京」というのは、そういうところだったなぁ、なんて思う。


ところで、私の女学校時代、つまり、常子でいうと高校時代、ということなのだが、実は、制服は、着なかった。
北海道の高校ではよくある話だったのだが、制服は決まっていなくて、私服校だったのである。
だから、上着やブラウス、スカートの類が決まっていないだけではなくて、鞄も、靴も、帽子も、全部「自由」だったわけである。
小さな決まりといえば、学校に登校する際には、服のどこか一か所に、校章のバッジをつけてください、ということなのだが…。
誰も付けていなかった。
上履きは、学年で決まっていたかな、と思うが、ただの運動靴だったように思う。

そういう話を、とある年配の、インテリジェンスな男性にお話したところ、「それは非常に、リベラルな学校時代だったね」と言われて、「リベラル」ってそういう意味なんだなぁ、と思った。

また、ファッション大好きな男性からは、「いいなぁ」と心底言われたものである。
この「いいなぁ」は、うらやましいだけではなくて、こうした中学時代、高校時代、いわゆる思春期というのは、ファッションセンスを磨く、最大のチャンスだ、というのである。

アメリカやフランスなどでは、日本のように、学校に制服は存在しない。
それで、お化粧をしたり、エクステンションをしたり、自由なのだそうである。
この、思春期、十代の、一番、人目を気にする時期、あるいは、一番、個性化していく成長期に、日本のように、「制服」で、一元化すると、ファッションセンスが育たないのだそうである。

そう言われてみれば、日本人のファッションセンスって、国際的には最悪である。
これは、中学、高校で、「制服」という伝統があるからにちがいない。

異性の目を気にするのも十代のこの時期であるから、本当に、勉強はそっちのけで、毎朝、鏡を見て、衣裳選び、衣裳チェックである。

髪も毎日同じでは学校には行けない。
編み込み技術は女子の必須項目だった。

毎日、同じブラウスや同じ服装で行くわけにもいかない。
親に洗濯をしてもらうわけにいかないので、みんな、自分で洗濯をして、自分でアイロンがけをしていた。

仮に、ブラウス一枚、2900円だとして…。洗い替えを考えると、一週間で5枚は必要になるだろう。
スカート一枚、5900円だとして、三枚は必要だろう。
冬物と夏物、両方必要である。

上着は、カーディガンや、ブレザー、冬のコート、夏の羽織ものである。
それから、入学式や卒業式、あるいは、喪服として、スーツも必要である。

服に合わせた、バッグと帽子、靴も必要で、雨の日にはレインシューズ、雪の日には、長めのブーツ、ということになる。

結果、制服が決まっている学校より、高くつくのは必然である。

また、これは実際体験したから、であるが、ブランドものの服が好き、親に買ってもらえる、という生徒は、メンズビギのTシャツを着てきた。
トラッドでおしゃれに決めてくる男子生徒は、モテモテだった。
ビートルズファッションで、髪も前髪ぱっつんで学校に通っていた生徒もいる。

私も、そうしたファッション環境のなかで、自分らしいファッションセンスを磨いていった…と書きたいところだが、実際には、試行錯誤でたいへんだった。
垢ぬけないTシャツに、だぼだぼジーンズ、こんな格好で、毎日学校にくる生徒は、それなりの立場を覚悟しなければならない。

でも、リベラルで楽しかったと思う。

日本の学校も、すべて私服化するべきではないか、と私は思う。
私の主人も、そう思うそうである。
特に主人は、黒の詰襟を着ていたので、これが、ジーンズにTシャツで学校に行けるなら、楽でいい、というのである。
「夏、涼しい」という。

かの、黒沢和子女史が、衣裳を担当しているドラマ「とと姉ちゃん」。
常子は制服の学校で、どのようにファッションセンスを磨いていったのだろう?
気になるところだ。

今も昔も変わらないのは、「おしゃれしたい」という乙女心だろうか。
私も、スカートのヒダを寝押しして、うまくいかなくて、朝起きて、「きゃ~」となったことがあったなぁ!

♪ だけど、東京で変わってく、あなたの未来はしばれな~い~ ♪