6月にはいった。
もうすぐ、梅雨入りである。
季節の家事や、衣替えがあるのも、日本ならではの文化なのかな、と思う。
そして、そこに、「暮らしかた」の雑誌が生まれたことも、とても大切な日本の文化なのではないか、と思う。
梅雨まえの、青空が本当にまぶしくてきもちいい。
「とと姉ちゃん」は、新卒一か月目を迎えている。
この時代にはまだ、それほど多くはなかった、オフィスレディ、OLである。
OLの定義というといろいろあるかもしれないが、会社に雇われて、月給をもらう、というようは雇用形態をいうのだろうか。
これまでの、住み込みで仕出し弁当を作っていた仕事の働き方とは、ちょっと勝手がちがうようである。
人数も多いし、部署に分かれてもいる。
人間関係も、横の関係、縦の関係、と複雑になっている。
こうした状況のなかで、常子は、仕事の取り組み方そのものに悩むことになる。
私も、新卒時代を本当に思い出す。
そもそもいったい、何のために仕事をするのか、仕事ってなんなのか、根本的に何が何だかわからなくなってしまった、私にも常子のような迷い戸惑いがあった。
ある先輩は、お給料のために仕事をしている。
そうすると、決められたお給料をもらえればいいわけだから、自分の労力を最小限にとどめようとするわけである。
ある先輩は、「誇り」のために仕事をしている。
自分自身の自尊心にかけて、人から言われた仕事はしたくない、自分自身の能力を社会に、いや会社に、示したい、ということである。
常子の場合はどうだろう。
常子は、いろいろ迷って悩んで、材木業を営む祖母のところに相談に行く。
祖母は「世の中、男と女しかいないんだから、うまくやっていくしかないじゃないか」と言う。
そして常子は、「困っている人を助けるため」と、仕事の意義を見出していく。
こうして、新卒で悩んだときに、家に帰って相談する人がいるかいないかは、新卒の仕事のその後に、とても大きな影響を及ぼすらしい。
常子の場合は、森田屋の皆さま、母、姉妹、ボーイフレンドの星野さん、祖母の滝子や、隈井さんなど、たくさんの人間関係に恵まれている。
仕事をする女性を支えるのは、たくさんの人間関係というネットワークなのかもしれない、と思う。
ここで、「女性は雑用係なのか」というテーマが出されてきた。
たくさんの女性たちが、とても悩んでいる問題ではないか、と思う。
「女性は雑用係にさせられる」これは、家庭においても、会社においても、そうした処遇を感じるのかもしれない。
「雑用」の反対語には、「メインの仕事」という意味があるだろう、と思う。
タイピスト、というメインの仕事があるにも関わらず、表に出してもらえない、他の用事を言いつけられる、という何か虐げられた、目下に思われた思いが、どうしてもぬぐえないのでないか、と思う。
それも、「女性だから」という理由ならば、納得ができないところだろう、と思う。
私自身は、こうしたテーマを、「女性だから雑用係としてしか扱われない」というふうには、捉えてこなかった。
私は、女性は持って生まれた性質がある、と以前から思っていて、それをこうして書いてきた。
女性の持って生まれた性質で、特質ともいうべき性質に、「柔軟性」があると思う。
最近の脳科学では、女性はたくさんの情報をいくつも同時に考えることができるそうだ。
たとえば、何枚もの書類をいっぺんに見て、どれがどれだか判別をつけられる、ということである。
男性には、こうしたことがむずかしいそうである。
冷蔵庫のバターを探せるか、見つけられるか、というと、男性の脳では、探すのがむずかしいそうである。
だから、男性は、常子に「書類整理をしてくれ」と頼むときに、「男の俺にはできないけれど、女性の君には得意分野だから、頼むよ」と言っているのではないか、と思う。
これは、推測である。
男性は、本当は、男性に苦手な仕事があって、女性たちにはそれが得意だ、と知っているので、頼むのではないか、と思う。
しかし、仕事の内容が定まらず、個人的な「手伝い」を頼まれることは、確かに私もあった、と思うと、このドラマが見事にできている、と思わざるを得なかった。
見事に描かれている、といえば、上司たちである。
タイピストを取りまとめるすぐ上の上司は、なんだかもやもやしていて、常子の話に対しても、早乙女の話に対しても、確固とした支持を出さない。
指示であり、支持である。
しかしこれは、主人に聞いた話であるが、わざとなんだそうである。
女子社員をとりまとめる、すぐ上の上司というのは、女子社員の状況をすべて把握していて、それでいて、のらりくらりとした態度をとり、誰の肩も持たないようにしているのだそうだ。
誰かひとりの肩を持てば、肩を持たれた女子社員がいい気になって、チームを乱すことは必須だそうである。
だから、早乙女に対しても、常子に対しても、どちらが正しいともなんとも言わないのだそうだ。
そして、その上の上司に、きちんと報告しておくのだそうである。
この、上の上司、佃さんといったか、この上司は、たとえば夜勤のおじさんと、お茶など飲みながら、女子社員たちの様子をきちんと聞いていて、女子社員の間に何が起こっているか、きちんと把握している。
そして、「ここぞ」というときに、出てきて、女子社員たちをまとめるのである。
…。私は、主人にこうした話を聞くまで、男性社員や上司が、どんな考えでこうして振舞っているのか、全然知らなかったし、わからなかったので、本当に驚いた。
女性のみなさんは、知っていました?
でもでも、本当に、ああいう場面にちゃんと、「その上の上司」って、現れるでしょう?
そうですよね。
そして、仕事の実力で、女子社員たちの上下関係をきれいに整理整頓してくれるんです。
本当に、社会、いや会社の仕組みはよくできている、と思います。
ところで、女性は本当に、雑用係なのでしょうか。
私は、会社の仕事は、スポーツのチームに例えられると思います。
サッカーやバレーボールも今とても話題ですが、やはり、チームで働くということは、パスやトスをする役割の人がいれば、シュートやアタックをする役割の人がいるわけです。
「私は雑用係にさせられた」と思っている人は、シュートをする係にさせてもらえないので、不満がたまっているのではないか、と思うのです。
でも、チーム全体の利益を考えることが、大切だと思うのです。
常子も、会社という組織の社員です。
会社の仕事が円滑に進んで、商売が繁盛して儲けがでる、その儲けのなかから、割り当て分をお給料としてもらっているわけです。
だから、タイピストという、アタッカーではない役割に割り当てられたのなら、その仕事を一生懸命するのがいいと思います。
そして、他の社員の手助けをするなら、その仕事をして、トスやパスを上手にするのがいい、と思うのです。
私自身は、仕事の取り組み方としても、家庭内の役割としても、「サブリーダー」であることを、すごく真剣に考えて取り組んできました。
サブリーダーは、リーダー本人ではないのですが、常にリーダーの下で、縁の下の力持ちをします。
それは、時には食事を作ることであったり、健康管理であったり、家事であったり、育児であったり、あるいは、家計管理であったりします。
そうして、リーダーがアタックをしやすいように、環境を整えるのが、サブリーダーの仕事です。
サブであってもリーダーなので、主人が留守をしたときや、リーダー不在の状況になったときには、リーダーシップもとれる、という力も、持っていなければならない、と思います。
これは、能力的にもそうですが、権限としても、リーダーになれる力を持っていないとならないかもしれないです。
「わたし」という一人の女子社員を、サブリーダーにおいておけば、リーダーとしての成功はまちがいなし、だから、いつもどの社員もが、「常子さんに手伝ってほしい」「常子さんの作った資料ならまちがいない」「このサブも常子さんに頼みたい」となるわけです。
常子は、どんな仕事もニコニコしてこなし、誰かの役にたって、そして、だからこそ、自分自身の能力を、最大に発揮している状況だと思います。
女性は、雑用係ではなくて、サブリーダーをするのに向いている性質を持っている、と私はそう思います。
誰か、力あるリーダーのもとで、一生懸命仕事をすることができたら、本当に幸せです。
その「力あるリーダー」が、花森安治ということになるのでしょうか…?
少なくとも、今の常子が、どんな仕事も責任をもって引き受ける、そういう仕事のしかたをしているから、見出されて「一緒に編集の仕事をしよう」となるのではないか、と私は思うのです。
アタッカーばかりが、仕事ではない、と私は思います。
女性も男性も、誰か力強いリーダーのもとで、やりがいのある仕事をしてみたいものだ、と思いませんか?
そのときの、力強いサブリーダーであることを、私は目指してきました。
今も、そうしています。
そういうわけで、今週は、このブログを考えながら書いているうちに、もう梅雨入りです。
雨の日のレインブーツは、もう用意いたしましたか?
私は、赤い水玉のレインブーツを、用意しました。
傘は、その日の気分で、いろいろな彩を、と思っています。
それでは、また。
来週の「とと姉ちゃん」も、楽しみにしています!!!